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<解説>南西地域への陸上部隊の配置および機動展開能力の強化について

陸自においては、「平素からの部隊配置」、「機動展開」および「奪回」の3段階の抑止・対処の構想に基づき、次のような南西防衛態勢強化のための事業を行うこととしている。

【平素からの部隊配置】

○ まず、与那国島に陸自の沿岸監視部隊を配備し、平素からの常続監視に必要な態勢を整備する。

○ また、災害対応を含む各種事態発生時の迅速な対処を可能とするため、自衛隊配備の空白地域となっている島嶼部に警備部隊などを新編することにより、南西地域の島嶼部の部隊の態勢を強化する。

【機動展開】

○ 各種事態に即応し、実効的かつ機動的に対処し得るよう、これまでの師団および旅団の約半数を、高い機動力や警戒監視能力を備えた機動運用を基本とする作戦基本部隊(機動師団・機動旅団)に改編する。その際、各機動師団・機動旅団には、航空機などでの輸送に適した機動戦闘車を導入し、各種事態に即応する即応機動連隊を新編する。

【奪回】

○ 島嶼部への侵攻があった場合に速やかに上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦を有効に実施し得るよう、連隊規模の複数の水陸両用作戦専門部隊などから構成される水陸機動団(仮称)を新編する。

こうした陸自の新たな南西防衛態勢をより実効的なものとするためには、陸自部隊の機動展開能力を高め、迅速・柔軟な全国的運用を可能とすることが不可欠である。

このため、航続距離の長いティルト・ローター機や水陸両用車、機動戦闘車といった新たな装備を導入するほか、陸自の各方面隊を束ねる統一司令部(「陸上総隊(仮称)」)を新編するとともに、各方面総監部の指揮・管理機能の効率化・合理化などの事業も行いつつ、統合機動防衛力を実現するため「即応機動する陸上防衛力」を構築することとしている。