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第III部 わが国の防衛のための取組

防衛白書トップ > 第III部 わが国の防衛のための取組 > 第3章 安全保障協力の積極的な推進 > 第5節 軍備管理・軍縮・不拡散への取組 > 1 大量破壊兵器の軍備管理・軍縮・不拡散関連条約などへの取組

第5節 軍備管理・軍縮・不拡散への取組

北朝鮮による12(平成24)年12月の「人工衛星」と称するミサイル発射や13(同25)年2月の核実験実施は、わが国や東アジア諸国のみならず、米国をはじめとする世界の国々に不安を与えるとともに、大量破壊兵器やその運搬手段であるミサイルなどの拡散が依然として国際社会の平和と安定に差し迫った課題であることを示した。

また、特定の通常兵器の規制についても、人道上の観点と防衛上の必要性とのバランスを考慮しつつ、各国が取り組んでいる。

これらの課題に対する取組として、軍備管理・軍縮・不拡散にかかわる国際的な体制が整備されており、わが国も積極的な役割を果たしている。

参照図表III-3-5-1(通常兵器、大量破壊兵器、ミサイルおよび関連物資などの軍備管理・軍縮・不拡散体制)

図表III-3-5-1 通常兵器、大量破壊兵器、ミサイルおよび関連物資などの軍備管理・軍縮・不拡散体制

1 大量破壊兵器の軍備管理・軍縮・不拡散関連条約などへの取組

わが国は、核兵器、化学兵器および生物兵器といった大量破壊兵器や、大量破壊兵器を運搬する手段であるミサイルおよび関連技術・物資などに関する軍備管理・軍縮・不拡散体制に関する条約や管理体制などの国際的な取組に積極的に参画している。

たとえば、化学兵器禁止条約(CWC:Chemical Weapons Convention)については、条約交渉の段階から化学防護の知見を提供し、条約成立後も条約の定める検証措置などを行うために設立された化学兵器禁止機関(OPCW:Organization for the Prohibition of Chemical Weapons)に化学防護の専門家である陸上自衛官を派遣するなど人的貢献を行ってきた。さらに、陸自化学学校(さいたま市)で条約の規制対象である化学物質を防護研究のために少量合成していることから、条約の規定に従い、同機関設立当初から計8回の査察を受け入れている。

また、わが国はCWCに従い中国遺棄化学兵器処理事業に政府全体として取り組んでおり、同事業を担当する内閣府に陸上自衛官を含む職員8名を出向させている。00(平成12)年以降、計13回の発掘・回収事業に、化学・弾薬を専門とする陸上自衛官を毎年現地に派遣している。13(同25)年は、8月から9月にかけて、内閣府が行う中国吉林省琿春(こんしゅん)市での発掘・回収事業に陸上自衛官7名が参加した。その他、生物兵器禁止条約(BWC:Biological Weapons Convention)や、国際輸出管理レジームであるオーストラリア・グループ(AG:Australia Group)やミサイル技術管理レジーム(MTCR:Missile Technology Control Regime)などの主要な会合に職員を派遣するなど、規制や取決めの実効性を高めるため協力している。また、11(同23)年から12(同24)年までの間、国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)本部に初めて陸上自衛官を1名派遣した。

参照資料60(国際機関への防衛省職員の派遣実績)

化学兵器の発掘・回収を行う陸自隊員の画像

中国吉林省において遺棄化学兵器の発掘・回収を行う陸自隊員