第III部 わが国の防衛に関する施策
3 効果的・効率的な維持・補給

防衛装備品の維持経費の増加に対応するためには、効果的・効率的な維持・補給に関する取り組みが必要となる。防衛省においては、これまでに、定期修理間隔の延長による効率化および新たな契約方式であるPBL(Performance Based Logistics)の実施およびその拡大を図っているところである。

1 定期修理間隔の延長による効率化

固定翼機やヘリコプター、ペトリオットなど、防衛装備品の定期修理について、安全性の確認を十分に行った上で、定期修理間隔の延長を実施し、効率化を図っている。たとえば、これまでに艦艇のガスタービン機関の計10種のオーバーホール間隔を8,000時間から10,000時間へ延長し、P-3C哨戒機については、その機体定期修理(PAR)の間隔を40か月から48か月へ延長しコスト削減を実現した。

2 PBL(Performance Based Logistics:成果保証契約)の導入

可動率や安全性といった装備品のパフォーマンスの達成に対して対価を支払うPBLは、欧米諸国で装備品の維持・整備に適用されて効果を上げている契約方式で、防衛省においても、装備品の可動率や安全性を維持・向上させつつ長期的なコスト低減を図る観点からPBLの導入可能性を検討する必要がある。このため、平成24年度にパイロット事業として陸自が保有する特別輸送ヘリコプター(EC-225LP)用の機体部品の取得、修理などに関する包括的な契約を締結した。
平成25年度においても、空自の初等練習機(T-7)用部品とF-15戦闘機用エンジンの部品の一部を対象に、PBLを実施する予定である。

特別輸送ヘリコプター(EC-225LP)
特別輸送ヘリコプター(EC-225LP)
エンジン部品の一部をPBLとする予定のF-15
エンジン部品の一部をPBLとする予定のF-15
3 国際共同開発・生産など

わが国は、これまで武器などの輸出については、武器輸出三原則等によって慎重に対処してきた。他方、BMDに関する日米共同開発などについては、内閣官房長官談話の発出などにより、武器輸出三原則等によらないこととする措置を個別に講じてきている。
参照 1章1節4
参照 資料204547
先端装備品の分野では高性能化・複雑化とそれに伴う高価格化が進んでいるため、その開発・生産においては、同盟国・友好国が持つ高い技術を活用しつつ開発・生産コストを抑制する国際共同開発・生産への参加が多く見られるようになっている。
これらを踏まえ、11(同23)年12月には、「防衛装備品等の海外移転に関する基準」についての内閣官房長官談話が公表された。この基準は、防衛装備品などの海外への移転について、<1>平和貢献・国際協力に伴う案件と<2>わが国の安全保障に資する防衛装備品などの国際共同開発・生産に関する案件については、厳格な管理を前提として、武器輸出三原則等の例外化措置を講じるものである。
その際には、わが国政府と相手国政府との間で取り決める枠組において、わが国の事前同意なく、目的外使用や第三国移転がないことが担保されるなど厳格な管理が行われることが前提となる。12(同24年)12月には、ハイチPKO(国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH))からの撤収に当たり、ハイチの経済社会開発に資するべく、同基準に基づいて武器輸出三原則等の「武器」に該当する油圧ショベルなどをハイチ政府へ譲与している。
また、政府は、13(同25)年3月1日、F-35の製造などにかかる国内企業の参画についての内閣官房長官談話を発出し、国際的な後方支援システムへの参画に際し、武器輸出三原則等の例外化を行っている。
参照 2章4節23章4節4

 
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