第III部 わが国の防衛に関する施策
2 装備品取得のさらなる効率化
1 IPT(Integrated Project Team)方式による装備品の取得

防衛省においては、装備品の構想段階からメンテナンス、教育訓練、能力向上なども見すえた装備品取得を検討するために、関係部署を集結し構成する「統合プロジェクトチーム」(IPT)方式による取得手法を推進してきた。一例として、航空自衛隊の次期戦闘機(F-X)の選定にあたっては、防衛省内の複数の関係部局の関係者を集めてIPTを設置し、選定の評価作業など、機種選定に関する作業全般を実施した。

2 装備品の共通化・ファミリー化

効率的な調達を実現するために、防衛省・自衛隊においては装備品の共通化・ファミリー化の推進に取り組んでいる。陸・海・空自衛隊においては、小火器、車両、化学器材を中心に共用装備品の調達(例:5.56mm機関銃、トラック、防護マスクなど)に努力してきたほか、陸自と空自で使用する短距離用の地対空誘導弾の一部構成品の共通化や、陸・海・空自衛隊で使用する対艦誘導弾のファミリー化などにより、開発経費の抑制およびスケールメリットによる取得単価の低減を図っている。

3 集中調達・一括調達

防衛省においては、装備品や部品について複数年度分の所要を特定年度にまとめて予算化・契約することで効率化をはかる集中調達や、種類の異なる装備品の構成品のうち共通する部分、あるいは異なる組織間で共通する装備品などの調達について、複数機関の予算をまとめて執行する一括調達について、取り組んできたところである。たとえば、平成24年度において、平成24・25年度の2か年に分けて調達予定であったF-15戦闘機の能力向上改修を実施する際に必要となるレーダー部品(トランスミッター)50個を集中調達し、約64億円のコスト削減が実現した。また、同年度、陸自の11式短距離地対空誘導弾と空自の基地防空用地対空誘導弾の構成品の共通部分(射撃統制装置や発射機など)を一括調達することで、約9億円のコストを削減した。

陸自の11式短距離地対空誘導弾と空自の基地防空用地対空誘導弾
陸自の11式短距離地対空誘導弾と空自の基地防空用地対空誘導弾
 
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