4 文民統制の確保
文民統制は、シビリアン・コントロールともいい、民主主義国家における軍事に対する政治優先または軍事力に対する民主主義的な政治統制を指す。
わが国の場合、終戦までの経緯に対する反省もあり、自衛隊が国民の意思によって整備・運用されることを確保するため、旧憲法下の体制3とは全く異なり、次のような厳格な文民統制の制度を採用している。
国民を代表する国会が、自衛官の定数、主要組織などを法律・予算の形で議決し、また、防衛出動などの承認を行う。
国の防衛に関する事務は、一般行政事務として、内閣の行政権に完全に属しており、内閣を構成する内閣総理大臣その他の国務大臣は、憲法上文民でなければならないこととされている。内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊に対する最高の指揮監督権を有しており、国の防衛に専任する主任の大臣である防衛大臣は、自衛隊の隊務を統括する。また、内閣には、国防に関する重要事項などを審議する機関として安全保障会議4が置かれている。
防衛省では、防衛大臣が国の防衛に関する事務を分担管理し、主任の大臣として、自衛隊を管理し、運営する。その際、副大臣と2人の大臣政務官が政策と企画について防衛大臣を助けることとされている5。
以上のように、文民統制の制度は整備されているが、それが実をあげるためには、国民が防衛に対する深い関心を持つとともに、政治・行政両面における運営上の努力が引き続き必要である。
また、昨年7月に公表された「防衛省改革会議」の報告書において、「現代的文民統制のための組織改革」として、首相官邸および防衛省における改革の方向性が示されたことを受け、防衛省は、防衛会議の法律上の新設などの文民統制を徹底するための取組を進めている。
参照 IV部2節