第III部 わが国の防衛のための諸施策 

1 武力攻撃事態等における対応の枠組

1 武力攻撃事態等への対処

 武力攻撃事態対処法4は、武力攻撃事態等への対処についての基本法的な性格を有しており、武力攻撃事態等への対処に関する基本理念、武力攻撃事態等への対処に関する基本的な方針(対処基本方針)、国・地方公共団体の責務などについて規定している。これにより、関係機関(指定行政機関、地方公共団体および指定公共機関5)が国民保護法などの個別の有事法制などに基づいて行う対処措置が連携協力して行われ、国全体として武力攻撃事態等への対処に万全の措置が講じられる枠組を整えている。
(図表III-1-1-2 参照)
 
図表III-1-1-2 武力攻撃事態等への対処のための手続き

参照 資料2425

(1)対処措置
 武力攻撃事態等への対処にあたり、対処基本方針が定められてから廃止されるまでの間に、指定行政機関、地方公共団体または指定公共機関は、法律の規定に基づいて、次の対処措置を行う。

ア 武力攻撃事態等を終結させるためにその推移に応じて実施する措置
1) 自衛隊が実施する武力の行使、部隊などの展開その他の行動
2) 自衛隊の行動および米軍の行動が円滑かつ効果的に行われるために実施する物品、施設または役務の提供その他の措置
3) 1)および2)のほか、外交上の措置その他の措置

イ 国民の生命、身体および財産の保護または国民生活および国民経済への影響を最小とするための措置
1) 警報の発令、避難の指示、被災者の救助、施設および設備の応急の復旧その他の措置
2) 生活関連物資などの価格安定、配分その他の措置

(2)国、地方公共団体などの責務
 武力攻撃事態対処法に定める国、地方公共団体などの責務は、図表III-1-1-3のとおりである。
 
図表III-1-1-3 国、地方公共団体などの責務

(3)内閣総理大臣の対処措置における権限
 対処措置の総合的な推進のため、対処基本方針が定められたときは、内閣に、内閣総理大臣を対策本部長、国務大臣を対策副本部長または対策本部員とする武力攻撃事態等対策本部(対策本部)が設置される。
 内閣総理大臣は、国民の生命、身体もしくは財産の保護または武力攻撃の排除に支障があり、特に必要があると認める場合であって、総合調整に基づく所要の対処措置が行われないときは、関係する地方公共団体の長などに対し、その対処措置を行うべきことを指示することができる。また、内閣総理大臣は、指示に基づく所要の対処措置が行われないときや、国民の生命、身体、財産の保護や武力攻撃の排除に支障があり、事態に照らし緊急を要する場合は、関係する地方公共団体の長などに通知した上で、自らまたはその対処措置にかかわる事務を所掌する大臣を指揮し、その地方公共団体または指定公共機関が行うべき対処措置を行い、または行わせることができる。

(4)国連安全保障理事会への報告
 政府は、国連憲章第51条などにしたがって、武力攻撃の排除にあたってわが国が講じた措置について、直ちに国連安全保障理事会に報告する。


 
4)武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全確保に関する法律
http://www.cas.go.jp/jp/hourei/houritu/jitai_h.html>参照

 
5)独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関と電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、政令で定めるもの。


 

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