新たな脅威や多様な事態への実効的な対応
新防衛大綱では、新たな脅威や多様な事態のうち、弾道ミサイル攻撃への対応、ゲリラや特殊部隊による攻撃などへの対応、島嶼(とうしょ)部に対する侵略への対応、周辺海空域の警戒監視及び領空侵犯対処や武装工作船などへの対応、大規模・特殊災害などへの対応の5項目を例示している。これらは、防衛出動によって対処する場合や必ずしも防衛出動に至らない場合であっても、わが国の平和と安全に重要な影響を与える事態である。
3章1節では、例示された5項目をはじめとする新たな脅威や多様な事態に対する自衛隊の対処のあり方、防衛庁・自衛隊がこれまで取り組んできている事項について説明する。
本格的な侵略事態への備え
新防衛大綱では、見通し得る将来、わが国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下していると判断されるため、いわゆる冷戦型の整備構想を転換し、本格的な侵略事態に備えた装備・要員について縮減を図るとしている一方、防衛力の本来の役割が本格的な侵略事態への対処であり、また、その整備が短期間になし得ないものであることを考慮して最も基盤的な部分については確保するとしている。
3章2節では、本格的な侵略が行われた場合、わが国を防衛するため、自衛隊が行うと考え得る典型的な作戦である、防空のための作戦、周辺海域の防衛のための作戦、わが国領土の防衛のための作戦、海上交通の安全確保のための作戦の概要について説明する。
武力攻撃事態などへの対処などにかかわる取組
わが国に対する武力攻撃など、国や国民の平和と安全にとって最も重大な事態への対処について、国として基本的な体制の整備を図ることは極めて重要であり、中でも関連する法制は国家存立の基盤をなすわが国の安全保障上の課題であった。
昨年6月、関連7法成立と3条約承認をもって、わが国に対する武力攻撃事態などへの対処に関して必要な法制(事態対処関連法制、いわゆる有事法制)が整備され、今後は、それらが有効に機能し得るよう国民保護計画など各種施策の具体化が進められることとなり、また、そうした中、防衛庁・自衛隊も重要な役割を果たすことが期待されている。
3章3節では、事態対処関連法制の制定までの経緯、その概要、国民の保護に関する自衛隊の行動及び今後の課題について説明する。