第3章 新たな脅威や多様な事態への実効的な対応と本格的な侵略事態への備え 

第2節  本格的な侵略事態への備え


 新防衛大綱では、見通し得る将来、わが国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下していると判断されるため、いわゆる冷戦型の整備構想を転換し、本格的な侵略事態に備えた装備・要員について縮減を図るとしている一方、防衛力の本来の役割が本格的な侵略事態への対処であり、また、その整備が短期間になし得ないものであることを考慮して最も基盤的な部分については確保するとしている。現在もなお、わが国周辺地域には不透明・不確実な要素が残されており、万一の侵略事態が起こった場合の国民の生命・財産の損失の大きさを考えると、このような本格的な侵略事態への備えは必要不可欠である。
 わが国に対する本格的な侵略が行われた場合、各自衛隊は有機的かつ一体的に行動し、迅速かつ効果的に対応する。特に、平成17年度末以降は、この態勢を平素から保持するため、統合運用体制1に移行する。本格的な侵略に対して行う作戦はその機能により、防空のための作戦、周辺海域の防衛のための作戦、わが国領土の防衛のための作戦、海上交通の安全確保のための作戦などに区分される。なお、これらの作戦の実施に際し、米軍は、日米防衛協力のための指針の下、自衛隊が行う作戦を支援するとともに、打撃力の使用を伴うような作戦を含め、自衛隊の能力を補完するための作戦を行う。
 本節では、本格的な侵略が行われた場合、わが国を防衛するため、自衛隊が行うと考え得る典型的な作戦の概要について説明する。


 
1)2章4節参照


 

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