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第III部 防衛目標を実現するための3つのアプローチなど

2 指揮・統制の強化

2024年7月の日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)において、米国は平時および緊急事態における相互運用性および日米間の共同活動にかかる協力の深化を促進するため、在日米軍を統合軍司令部として再構成する意図を表明した。日米両政府は、ACMが平時から緊急事態までの全ての段階における自衛隊および米軍によって実施される活動に関する、二国間の政策面および運用面での調整を促進するメカニズムであり続けることを一つの原則としつつ、作業部会を設置し、自衛隊の統合作戦司令部と米軍のカウンターパート関係などについて議論を進めていくことで一致した。これを踏まえ、同年9月、日米の指揮・統制の枠組みの向上にかかる作業部会を設置した。

2025年3月末、統合作戦司令部の創設とタイミングを合わせる形で、在日米軍は統合軍司令部へのアップグレードを開始した。具体的には、自衛隊と米軍の運用面での協力をより一層強化するため、在日米軍に、新たに統合作戦司令部と米軍の連携を専門に扱う部署が設置された。今般開始された在日米軍の統合軍司令部へのアップグレードの「フェーズ1」は、平時から緊急事態までに至る相互運用性および日米間の共同活動にかかる協力の深化の促進に向けたものであり、また、統合作戦司令部と米軍の連携を専門に扱う新たな部署の設置は、日米間の一層緊密な連携にもつながるものである。在日米軍の統合軍司令部へのアップグレードは、今後も米国内での検討を経た上で段階的に進められるものであり、日米間の調整・連携要領などの細部については引き続き作業部会を通じて議論が行われる。