自衛隊の人的構成は、これまで全体の定数が削減されてきた一方、装備品の高度化、任務の多様化・国際化などへの対応のため、より一層熟練した技能、専門性を有する者が必要となっている。
このような状況を踏まえ、国家防衛戦略、防衛力整備計画では、知識・技能・経験などを豊富に備えた人材の一層の活用を図るため、精強性にも配慮しつつ、自衛官の定年年齢の引き上げを行うこととされた。これに基づき、2023年には1尉から1曹までの定年が1歳引き上げられ、2024年には1佐から3佐および2曹から3曹までの定年を、それぞれ1歳ずつ引上げることとしている。
また、定年退職自衛官の再任用(定年から65歳に達する日以前)をさらに推進すべく、2023年には艦船乗組の一部および航空機操縦業務の一部を、2024年にはサイバーおよび飛行点検の業務を再任用自衛官が従事できる業務とした。
さらに、無人化・省人化などを推進するため、AI(Artificial Intelligence)の活用促進などにかかるアドバイザー業務の外部委託など、AI活用に関する支援態勢を構築するとともに、部外委託講習により部内人材の育成を図るなど、AI活用にかかる環境整備を行っている。
加えて、一部艦艇では、複数クルーで交替勤務するクルー制を導入し、限られた人員による稼働率の確保に取り組んでいる。
参照図表IV-2-1-5(自衛官の階級と定年年齢)
防衛省職員の自殺者数は、2023年度は64人であった。依然として、職員の尊い命が自殺により失われていることは、御家族にとって大変痛ましいことであり、また、組織にとっても多大な損失である。
2022年に、職員の自殺事故防止の観点から、防衛省のメンタルヘルスに関する基本方針を策定し、各種施策を推進することとされた。
具体的には、全職員を対象としたメンタルヘルスチェックやカウンセリングの利用啓発などによる職員の意識改革、ワークライフバランスに関する施策の推進などによる職場環境の改善を図っている。また、有資格者のカウンセラーの確保、上司とカウンセラー、医療機関との連携や相談先の多様化といったサポート体制の強化などに取り組んでいる。
参照図表IV-2-1-6(防衛省職員の自殺者数の推移)