FMS(Foreign Military Sales)は、米国の武器輸出管理法などのもと、米国の安全保障政策の一環として同盟諸国などに対して装備品を有償で提供するものである。FMSには、①価格が見積りである、②前払いが原則であり履行後に精算される、③納期が予定であるなどの特徴があるが、わが国の防衛力を強化するために非常に重要なものである。
一方、FMSについては、納入遅延や精算遅延などの様々な課題があることは事実であり、近年FMS調達額が高水準で推移しているなかで、日米が協力して改善に努めているところである。
具体的には、2016年以降、防衛装備庁と米国防安全保障協力庁との間でFMS調達をめぐる諸課題について協議を行う安全保障協力協議会合(SCCM:Security Cooperation Consultative Meeting)を8回開催している。
2024年1月の第8回会議においては、FMS調達額が高水準で推移するなか、未納入・未精算に関し日米間で引き続き履行管理の強化を行い、未納入額・未精算額の縮減に取り組むとともに、価格の透明性確保に関し、改善に向け責任をもって取り組むことを確認した。
また、2023年4月に防衛装備庁と米国防省との間で、装備品などにかかる品質管理業務を相互に無償で提供し合う枠組みを締結している。本枠組みにより、FMS調達にかかる品質管理費用が免除され、FMS調達額の縮減や同盟国である米国との調達分野における協力関係の向上につながっている。
FMSで調達する装備品を含む輸入調達品については、国内企業による維持整備の追求や、能力の高い装備品について、米国などとの国際共同研究・開発をより一層推進していくこととしている。その一環として、国内企業の日米共通装備品のサプライチェーンやインド太平洋地域における米軍の維持整備事業への参画を図るため、在日米軍や米国防衛産業とのマッチングの機会となる展示会(インダストリーデー)を開催している。2023年は10月に実施した。
インダストリーデーを視察する三宅防衛大臣政務官(左から2番目)
(2023年10月)
参照図表IV-1-4-2(FMSによる装備品等の取得にかかる予算額の推移(契約ベース))、1節2項2(3)(インダストリーデー)