わが国の防衛にとって、航空優勢を将来にわたって確保するためには、最新鋭の優れた戦闘機を保持し続けることが不可欠である。このため、2035年頃から退役が始まる予定のF-2戦闘機の後継機である次期戦闘機については、わが国主導を実現すべく、数に勝る敵に有効に対処できる能力を前提に、将来にわたって適時適切な能力向上が可能となる改修の自由や高い即応性などを実現する国内生産・技術基盤を確保するよう開発していくことが必要である。次期戦闘機の開発については、この実現のため、2020年10月、戦闘機全体のインテグレーションを担当する機体担当企業として、2020年度事業に関し三菱重工業株式会社と契約を締結し、開発に着手した。
次期戦闘機のイメージ
そのうえで、日英伊3か国で機体の共通化の程度にかかる共同分析を行い、その結果を踏まえ、3か国は共通の機体を開発することに合意し、2022年12月、3か国首脳はグローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Programme)を発表した1。これは、3か国の技術を結集し、開発コストやリスクを分担しつつ、将来の航空優勢を担保する優れた戦闘機を共同開発するものである。この協力は、各国の産業界の協力を促すとともに、次期戦闘機の量産機数の増加、国際的に活躍する次世代エンジニアの育成、デジタル設計などの先進的な開発・製造手法の導入などわが国の防衛産業・技術基盤を維持強化するものである。
2023年12月、木原防衛大臣は、シャップス・英国防大臣とクロセット・イタリア国防大臣と東京で会合を行い、効率的な3か国の協業体制の確立に不可欠なGIGO(GCAP International Government Organisation)設立条約2に署名した。
GIGO設立条約に署名する日英伊国防相(2023年12月)
基本的価値を共有し、ともに米国の同盟国である日英伊3か国の協力は、今後何世代にもわたり、英伊両国との幅広い協力の礎となるとともに、インド太平洋地域および欧州地域の平和と安定に大きく貢献するものである。なお、2022年12月、米国は、英国やイタリアとわが国の次期戦闘機の開発に関する協力を含め、わが国が行う、志を同じくする同盟国やパートナー国との間の安全保障・防衛協力を支持することを発表した。
日米間においては、次期戦闘機をはじめとした装備を補完できる、無人航空機などの自律型システムについての具体的な協力を2023年中に開始することで一致していたところ、2023年12月、次期戦闘機と連携する無人機への適用が見込まれる、「無人航空機へ適用するAI(Artificial Intelligence)技術に係る日米共同研究」に関する事業取決めに防衛省と米国防省の間で署名した。
参照III部1章4節1項2(2)(無人アセット防衛能力の強化)
資料:次期戦闘機の開発について
URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/defense/nextfighter/index.html