2024年1月1日、石川県能登地方を震源とする最大震度7(M7.6、深さ約16km)の地震が発生し、同日には石川県知事から、同月4日には富山県知事から陸自に対して災害派遣要請があり、人命救助、衛生支援、輸送支援、給食支援、給水支援、入浴支援、道路啓開活動などを行った。防衛省・自衛隊は、同災害対応にあたり、発災後ただちに航空機を発進させ被害状況を把握するとともに、同月2日に陸自中部方面総監を指揮官とする統合任務部隊を編成し、最大約14,000名態勢を確立して各種活動を実施した。
同災害派遣では、道路網が寸断された半島部の先端という陸上からのアクセスが困難な被災地の状況のもと、陸・海・空自ヘリを主体とした空中機動力の集中運用、自衛隊艦艇を洋上の拠点として活用するなど統合運用能力を結集して対応にあたった。
発災直後から付近住民に対する支援活動、捜索・救助活動などを実施した第23警戒隊(空自輪島分屯基地)の隊員(通称「輪島40s」)(2024年1月)
石川県と富山県(1月9日で活動終了)に対する派遣では、発災直後からの人命救助活動、自衛隊航空機や艦艇などによる警察、消防、DMAT(Disaster Medical Assistance Team)要員などの輸送、道路を通行させるための道路啓開作業などを行うほか、避難所を回って被災者からの要望の把握やPFI(Private Finance Initiative)船舶を活用した休養施設の運営など、被災者に寄り添ったきめ細かな生活支援活動を全力で行った。(3月31日時点:①物資輸送(糧食約430万食、飲料水約230万本)、②給食支援(約25万食)、③給水支援(約6,000t)、④入浴支援(約37万人)など。)
物資輸送・生活支援については、政府全体でプッシュ型支援に取り組むなか、自衛隊のトラックなどにより、支援物資を1か所(金沢)に集積したうえで、さらにヘリや車両により支援物資を各集積所などに輸送し、その後各避難所まで輸送した。艦艇による輸送については、津波の被害などで港湾の活用が困難であり、道路状況に損傷が見られるなかで、輸送艦「おおすみ」からエアクッション艇(LCAC:Landing Craft Air Cushion)を発進させてドーザなどの重機や支援物資を輸送した。
また、同年1月5日に、内閣総理大臣の承認を得て、予備自衛官と即応予備自衛官を最大約100名招集し、交代要員を含めのべ約200名が被災地において生活支援や衛生支援の活動に従事した。
さらに、自衛隊が実施している物資輸送を滞りなく継続するため、在日米軍に対し、被災者支援物資の輸送支援を要請し、在日米軍からは、航空機による同物資の輸送の支援を受けた。
人命救助
LCACによる重機などの揚陸
隊員による物資輸送
医療支援
被災者からの要望の把握
現地において自衛官などを激励する岸田内閣総理大臣(2024年1月)
上空からの被災状況の確認を行う木原防衛大臣(2024年1月)
資料:令和6年能登半島地震に係る災害派遣
URL:http://www.mod.go.jp/js/activity/domestic/2024notohantou.html