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<解説>軍民融合

中国は、従来から、緊急事態における民間資源の軍事利用(徴用を含む。以下同じ。)を目的として国防動員体制を整備してきましたが、近年、国家戦略として軍民融合を推進しています。軍民融合とは、国防動員体制の整備に加え、緊急事態に限られない平素からの民間資源の軍事利用や、軍事技術の民間転用などを推進するものとされています。

軍民融合の推進により、ハイテク分野をはじめとする民間技術の軍事転用で中国軍の軍事力強化の効率性が向上することが見込まれます。実際、17(平成29)年の軍民融合発展委員会の第1回会議などにおいて、習近平主席は、軍民融合の重点分野の一つとして海洋、宇宙、サイバー、人工知能(AI)といった中国にとっての「新興領域」とされる分野における取組を強調しているとされています。また、生産段階から徴用を念頭に置いた民生品の標準化を行うことで、効果的な徴用が可能となることなどが見込まれます。こうしたことから、軍民融合が今後、中国軍の作戦遂行能力の向上に与える影響が注目されます。