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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

2 防衛関係費の内訳

防衛関係費は、隊員の給与や食事のための「人件・糧食費」と、装備品の修理・整備、油の購入、隊員の教育訓練、装備品の調達などのための「物件費」とに大別される。さらに、物件費は、過去の年度の契約に基づき支払われる「歳出化経費」1と、その年度の契約に基づき支払われる「一般物件費」とに分けられる。物件費は「事業費」とも呼ばれ、一般物件費は装備品の修理費、隊員の教育訓練費、油の購入費などが含まれることから「活動経費」とも呼ばれる。防衛省では、このような分類の仕方を経費別分類と呼んでいる。

参照図表II-5-4-3(防衛関係費の構造)、図表II-5-4-4(歳出額と新規後年度負担の関係)

図表II-5-4-3 防衛関係費の構造

図表II-5-4-4 歳出額と新規後年度負担の関係

歳出予算で見た防衛関係費は、人件・糧食費と歳出化経費という義務的な経費が8割を占める。また、一般物件費も、在日米軍駐留経費負担、基地周辺対策経費2のような義務的な経費がかなりの部分を占める。

人件・糧食費は、国家公務員の給与減額支給措置の終了にともない、前年度から1,034億円(5.2%)の増額、歳出化経費は、前年度から562億円(3.4%)の増額、一般物件費は、前年度から561億円(5.5%)の減額となっている3

平成26年度防衛関係費を経費別のほか、各自衛隊などの機関別、維持費や装備品等購入費などの使途別、各自衛隊などの機関別に分類すると、その内訳は、図表II-5-4-5のとおりである。

参照資料19(防衛関係費(当初予算)の使途別構成の推移)

図表II-5-4-5 防衛関係費(当初予算)の内訳(平成26年度)

また、歳出予算とは別に、翌年度以降の支払を示すものとして新規後年度負担額がある。防衛力整備においては、艦船・航空機などの主要な装備品の調達や格納庫・隊舎などの建設のように、契約から納入、完成までに複数年度を要するものが多い。しかし、わが国の予算は毎会計年度国会の議決を経なければならないため、原則として予算により認められた国費の支出は当該年度に限られる。そのため、契約から納入、完成までに複数年度を要するものについては、複数年度に及ぶ契約を行い、将来(原則5年以内)の一定時期に支払うことを契約時にあらかじめ約束するという手法をとっている。このような複数年度に及ぶ契約に基づき、契約の翌年度以降に支払う金額を後年度負担額といい、平成26年度に新たに負担することとなった後年度負担額(新規後年度負担額)は、前年度から2,948億円(17.8%)の増額となっている。

さらに、事業規模を示す契約ベース4で見た場合、前年度から2,386億円(8.9%)の増額となっている。

1 防衛力整備には複数年度にわたるものがある。その場合、契約する年度と代価を支払う年度が異なるため、まず将来における債務負担の上限額を、国庫債務負担行為(債務を負う権限のみが与えられる予算形式であり、契約締結はできるが、支払はできない。)として予算に計上する。それを根拠として契約し、原則として完成・納入が行われる年度に、支払に必要な経費を歳出予算(債務を負う権限と支出権限が与えられる予算形式であり、契約締結および支払ができる。)として計上する。このように、過去の契約に基づく支払のため計上される歳出予算を歳出化経費といい、次年度以降に支払う予定の部分を後年度負担という。

2 代表的なものは住宅防音事業の経費

3 対前年度比較はSACO関係経費、米軍再編経費のうち地元負担軽減分を含まないものによる。以下この項において同じ。

4 一般物件費と新規後年度負担の合計額。当該年度に契約し、当該年度以降支払われることになる物件費(事業費)の規模を示す。平成26年度は2兆9,199億円