自衛隊が各種任務を適切に実施するためには、護衛艦や航空機などの装備品を取得し、部隊の運用体制を確立する必要があるが、これらの防衛力整備は一朝一夕にはできず、長い年月を要する。そのため、中長期的見通しに立った防衛力整備を行う必要がある。
このため、政府として、昭和52年度以降、「防衛計画の大綱」(防衛大綱)を定めて、わが国の安全保障の基本方針、わが国を取り巻く安全保障環境、防衛力の意義や役割、さらには、これらに基づく自衛隊の具体的な体制や主要装備品の整備目標の水準といった防衛力整備の基本的指針を示してきたところである。
これまで、その時々の安全保障環境などを踏まえ、76(昭和51)年、95(平成7)年、04(同16)年および10(同22)年に防衛大綱を策定した。
参照図表II-4-1-1(これまでの防衛力整備計画の推移)
51大綱は、70(昭和45)年代のデタント1を背景として策定したものであり、①全般的には東西間の全面的軍事衝突などが生起する可能性は少ない、②わが国周辺においては、米中ソの均衡的な関係と日米安保体制の存在がわが国への本格的な侵略の防止に大きな役割を果たし続けるとの認識に立っている。
そのうえで、わが国が保有する防衛力については、①防衛上必要な各種の機能を備え、②後方支援体制を含めてその組織および配備において均衡のとれた態勢をとることを主眼とし、③これをもって平時において十分な警戒態勢をとりうるとともに、④限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対処することができ、⑤さらに情勢の変化が生じ、新たな防衛力の態勢が必要とされるに至ったときには、円滑にこれに移行できるよう配慮されたものとすることとした。51大綱で導入した「基盤的防衛力構想」は、このようにわが国への侵略の未然防止に重点を置いた抑止効果を重視した考え方である。