第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

2 平成22年度の防衛予算の編成と準拠となる方針

 政権交代の結果、このような動きと並行して、次の中期防は16大綱の見直しの結論を踏まえて策定されることになった。こうした中、本章第2節で述べたように、平成22年度の防衛予算の編成の準拠となる方針が閣議決定され、中期防がない中で適切に防衛力の整備を行うための方針などが明らかにされた。

参照 本章2節5資料11

(1)基本的考え方
 この方針の中で、平成22年度においては、16大綱が定める防衛力の役割を実効的に果たせるよう、16大綱の考え方に基づき防衛力を整備することとしている。
 その際、次のような事項を重視しつつ、老朽化した装備品の更新や旧式化しつつある現有装備品の改修による有効利用を中心として防衛力整備を効率的に行うことを原則とするとともに、自衛官の実員について、極力効率化を図りつつ、第一線部隊の充足を高め、部隊の即応性・精強性の向上を図ることとしている。

ア 各種事態の抑止および即応・実効的対応能力の確保
 弾道ミサイル攻撃、特殊部隊攻撃、島嶼部における事態への対応、平素からの常時継続的な警戒監視・情報収集、大規模・特殊災害への対応などに必要な装備品などを整備し、対応能力などを確保する。
 
「事業仕分け」で発言する長島大臣政務官〔朝雲新聞社〕

イ 地域の安全保障環境の一層の安定化
 アジア太平洋地域における安全保障環境の一層の安定化のため、人道支援・災害救援をはじめとする各種協力や二国間・多国間の対話などをさらに推進する。

ウ グローバルな安全保障環境の改善に向けた取組の推進
 大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散防止、テロ・海賊への対処、PKOなど国際社会が協力して行う各種の活動に主体的・積極的に対応するため、各種訓練への参加などを推進するとともに、国際平和協力活動にも活用できるような装備品などを整備する。

エ 効率化・合理化に向けた取組
 厳しい財政事情のもと、効果的・効率的に防衛力を整備するため、事業の優先順位を明確にしつつ、人的資源の効果的・効率的な活用、装備品などの効率的な取得といった取組を推進する。

(2)留意事項
 以上で述べた防衛力の整備にあたっては、わが国を取り巻く安全保障環境の新たな動向に対応するため、次の事項について特に留意することとされている。
1) LCC管理の活用を通じた調達コストの縮減といった、さらなる効率化などを進める。また、中長期的な視点から、わが国の防衛生産・技術基盤のあり方について検討する。
2) 人員を効率的・効果的に活用するため、業務のうち可能なものは部外委託などを行う。また、質の高い人材の確保・育成を図り、教育を充実する。さらに、社会の少子化、高学歴化が進む中で自衛隊の任務の多様化などに対応できるよう、隊員の階級や年齢構成などのあり方を検討する。
3) 地域住民や地域社会との関係の緊密化に留意しつつ、自衛隊が全体として効果的・効率的に能力を発揮できる体制を目指す観点から、部隊の効率化・合理化などについて検討する。
4) 統合運用体制への移行後の運用の実績などを踏まえつつ、自衛隊がその任務を実効的に果たすことができるよう、統合運用を強化する。

 

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