第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

第4節 平成22年度の防衛力整備

1 予算編成までの経緯

 09(同21)年実施された総選挙の結果、政権交代という歴史的転換があり、新しい政権のもとで、平成22年度の予算編成が行われた。
 同年9月18日の閣議決定により、国民的な観点から、国の予算、制度その他国の行政機関全般のあり方の見直しを行うため、内閣府に行政刷新会議が設置された。平成22年度の予算編成については、同月29日の閣議決定1において、マニフェストに従い、新規施策を実施するため、すべての予算を組み替え、新たな財源を生み出すことになった。また、同年10月23日の閣議決定において、予算編成過程の透明化・可視化といった予算編成のあり方についても改革を実施することとされ、行政刷新会議において「事業仕分け」2を全面公開で行うことになった。
 この「事業仕分け」を含む歳出の見直しにおいては、外部の視点も入れて、既存の事業や予算についても、そもそもの必要性を含めて見直すこととされた。
 第2回行政刷新会議において「事業仕分け」の対象となる事業などが決定され、防衛省については、自衛官の実員増要求、装備品の調達、基地周辺対策や防衛施設の用地借料の水準など17の事業が対象とされた。これらの「事業仕分け」は同年11月に行われ、防衛省からは事業の目的や必要性などを説明し、財務省からの説明も聴取した上で議論が行われた結果、予算要求の縮減、予算計上の見送り、事業の見直し、予算要求どおりといった評価結果が取りまとめられた。
(図表II-2-4-1 参照)
 
図表II-2-4-1 防衛省の事業についての「事業仕分け」の主要な結果

 このため、平成22年度政府予算案においては、「事業仕分け」の結果を踏まえ、対象事業にかかる経費について、概算要求から168億円を削減することとした。あわせて、防衛省としては、将来の効率的・効果的な防衛力の整備に資するため、より効率的・効果的な業務のあり方や自衛隊の組織構成のあり方などに関する調査研究を行うこととした。
 なお、10(同22)年4月下旬と5月下旬に独立行政法人および政府系の公益法人が行う事業についての「事業仕分け」が行われ、また、平成22年度から、各府省において「行政事業レビュー」3が行われている。


 
1)「平成22年度予算編成の方針」。このほか、平成22年度予算編成にかかわる政府全体の方針を定めた閣議決定には、「予算編成等の在り方の改革について」(09(平成21)年10月23日)と「予算編成の基本方針」(同年12月15日)がある。

 
2)「事業仕分け」においては、既存予算の必要性、予算執行の実態にかかる議論を公開の場で行うことにより、予算編成において「何が論点か」、「予算の優先順位はどうなっているのか」といったことが国民の目に明らかになるとされている。行政刷新会議の「事業仕分け」については、<http://www.cao.go.jp/sasshin/index.htm>参照。

 
3)各府省において、予算の支出先、使途などについて実態把握を行い、外部有識者を交えた公開プロセスを含め自ら事業を点検し、その結果を事業執行や予算要求等に反映させる取組。


 

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