第4章 日米安全保障体制の強化 

5 厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐


【米空母展開の意義】
 米国の太平洋艦隊のプレゼンスは、アジア太平洋地域における海上交通の安全を含む地域の平和と安定にとり、重要な役割を果たしている。米空母は、その能力の中核となる役割を果たしており、現在米空母キティ・ホークが、この地域に展開し、米軍横須賀基地(神奈川県)にも寄港してきた。空母およびその艦載機の長期にわたる前方展開能力を確保するため、わが国においてその拠点が確保される必要がある4

【空母艦載機の拠点】
 空母艦載機については、空母の横須賀基地展開時の拠点として、厚木飛行場(神奈川県)が現在利用されているが、厚木飛行場は市街地の中心に位置し、特に空母艦載ジェット機の離発着に伴う騒音が、長年にわたり問題となっていた。
 今後、日米安保体制とその下での空母の運用を安定的に維持していくためには、これらの問題を早期に解決することが必要である。
 また、岩国飛行場については、滑走路移設事業終了後には、周辺地域の生活環境への影響がより少ない形で、安全な航空機の運用が可能となる。
参照> 本章本節6

 これらを考慮し、第5空母航空団は、厚木飛行場から岩国飛行場に移駐することとした。この移駐は、F/A-18、EA-6B、E-2CおよびC-2機(計59機)から構成され、1)必要な施設が完成し、2)訓練空域および岩国レーダー進入管制空域の調整が行われた後、14(同26)年までに完了する。
 この移転に伴い、米軍の運用の増大による影響を緩和するため、以下の関連措置がとられる。
○ 海自EP-3、OP-3、UP-3やU-36A機(2個飛行隊(計17機))は岩国飛行場から厚木飛行場へ移駐する。
○ 普天間飛行場のKC-130機(1個飛行隊(12機))は、司令部、整備支援施設および家族支援施設とともに、岩国飛行場を拠点とする。KC-130機は、訓練および運用のため、海自鹿屋基地およびグアムに、定期的にローテーションで展開する。その展開の支援のため、鹿屋基地において必要な施設が整備される。
○ 海兵隊CH-53Dヘリ(1個飛行隊(8機))は、第3海兵機動展開部隊の要員が沖縄からグアムに移転する際に、岩国飛行場からグアムに移転する。
○ 訓練空域及び岩国レーダー進入管制空域について、自衛隊、米軍、および民間機の訓練および運用上の所要を安全に満たすよう調整する。
○ 空母艦載機着陸訓練については、恒常的な空母艦載機着陸訓練施設について検討を行うための二国間の枠組みを設け、恒常的な施設を09(同21)年7月またはその後のできるだけ早い時期に選定することを目標とする。なお、「共同文書」においては、空母艦載機着陸訓練のための恒常的な訓練施設が特定されるまでの間、現在の暫定的な措置に従い、米国は引き続き硫黄島で空母艦載機着陸訓練を実施する旨確認された。
 また、将来の民間航空施設(ターミナルやエプロンなど)の一部が岩国飛行場に設けられる。
参照> 本章本節6


 
4)なお、昨年10月、米海軍は、08年に空母キティ・ホークが退役し、原子力空母と交代することを発表した。その後、原子力空母ジョージ・ワシントンを後継艦とすることが決定、公表された。(コラム参照)


 

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