第4章 日米安全保障体制の強化 

(Q&A)なぜ、原子力空母が日本へ展開する必要があるのですか?

 空母および空母を中心とした部隊は、米海軍にあって前方展開能力として重要な役割を担っています。わが国は、従来からわが国への米空母の展開を受け入れてきました。05年10月、米海軍は、第7艦隊に所属し、これまでわが国の横須賀(神奈川県)に寄港してきた通常型の空母キティ・ホークが2008年に退役し、原子力空母と交替することを発表し、その後展開する原子力空母名について92年就役のジョージ・ワシントンであることを発表しました。
 原子力空母は、原子炉から生み出されるエネルギーにより推進することから、頻繁な洋上補給が不要、加速力が大きいなど、戦闘・作戦能力に優れています。このことから、米国においては、70年代以降に就役した空母のすべてが原子力空母となっています。キティ・ホーク以外で現在米海軍が唯一保有する通常型空母ジョン・F・ケネディについても、空母にとって重要な機能を担う部分の損傷が激しく、米政府は2007年中の退役の方針を明らかにしています。
 米国の原子力軍艦(空母や潜水艦)については、50年の運航の歴史の中で、人体や生態系に悪影響を及ぼす放射能流出の事例は全くなく、日本にはのべ1250回以上寄港していますが、過去40年間、日米両国が行っている環境モニタリングでも、米原子力軍艦に起因する周辺環境の放射能レベルの異常な増加は全く検出されていません。米国は空母交替後も、引き続き日本で原子炉の修理や燃料交換は行われず、空母の停泊中は通常、原子炉を停止するなどの原子力軍艦の安全性に関する一連の保証を堅持することを確約しています。
 わが国としては、このような空母の展開により、空母キティ・ホーク退役後もわが国周辺に米海軍の強固なプレゼンスが維持されることは、わが国の安全および極東における国際の平和と安全の維持に役立つものと考えています。
 
航行する米空母「ジョージ・ワシントン」〔U.S.Navy〕

 

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