第4章 日米安全保障体制の強化 

1 本土に所在する在日米軍施設・区域


(1)岩国飛行場滑走路移設事業
 政府は、地元岩国市などの要望を受け、同飛行場の運用や安全、騒音をめぐる問題を解決し、その安定的使用を図るため、滑走路を東側(沖合)へ1,000m程度移設する事業を進めることとしており、平成20年度末の完成を目指している。
参照> 本章本節5

(2)岩国飛行場民間空港再開
 山口県や岩国市などの地元地方公共団体などが一体となって民間空港再開を要望していることにかんがみ、同飛行場の民間空港再開と米軍の運用との関連などについて問題点などを整理し、その可能性を検討するため、日米合同委員会の枠組みを活用して協議を行ってきた。その結果、05(平成17)年10月、同委員会において、米軍の運用上の所要を損なわない限りにおいて、1日4往復の民間航空機の運航を認めることについて合意された。本合意を踏まえ、民間航空機の運航に関する詳細について、引き続き、日米間で調整することとしている。
 
岩国飛行場(滑走路移設工事着工中)

(3)空母艦載機の着陸訓練場の確保
 空母艦載機が洋上の空母へ着艦するには、非常に高度な技術が要求される。空母が入港している間におけるパイロットの技量の維持のための訓練は、主として厚木飛行場で行われてきた。しかし、飛行場周辺の市街化により、深刻な騒音問題が生じたことから、政府は、三宅島に代替訓練場を設置するための検討を続けてきている。
 しかしながら、地元の理解が得られていないことなどから、進展は見られない状況にあるため、89(平成元)年の日米間の協議により、三宅島に訓練場を設置するまでの暫定(ざんてい)措置として、硫黄島の飛行場を利用することとした。
 なお、空母艦載機着陸訓練に関する最近の動きについては、本節5においても述べたとおり、恒常的な訓練施設が特定されるまでの間、硫黄島で空母艦載機着陸訓練が行われることなどが、日米間で確認された。
 
硫黄島における空母艦載機着陸訓練

(4)神奈川県における在日米軍施設・区域の整理など
 神奈川県に所在する在日米軍施設・区域については、地元地方公共団体などからの強い返還要望を踏まえ、これら施設・区域のあり方について日米間で協議を行った結果、横浜市内に所在する上瀬谷通信施設など6施設・区域の返還に関する基本的な考え方と「池子住宅地区及び海軍補助施設」の横浜市域における700戸程度の米軍家族住宅などの建設について日米間の認識が一致し、04(同16)年10月、この協議結果が日米合同委員会において合意された。
(図表4-2-12参照)
 
図表4-2-12 神奈川県における在日米軍施設・区域の整理等に関連する施設・区域

 当該6施設・区域のうち、小柴貯油施設については、西側部分約10haの返還が合意されていたところであるが、地元地方公共団体からの早期全面返還要請を踏まえ、米側と鋭意協議を重ねた結果、昨年12月、同施設の陸地部分全域約53haなどについて返還された。防衛庁としては、残る5施設・区域についても、跡地利用に関する地元地方公共団体の要望などを聴きながら、早期返還を米側に要請していく考えである。
 また、当該米軍家族住宅などの建設については、1)神奈川県における6箇所の米軍施設・区域約419haに及ぶ大規模な返還に道を開くとともに、2)在日米海軍の当面の住宅不足を解消するものであり、日米安全保障条約の目的達成のため必要不可欠なものであることから、防衛庁としては、米側および関係地方公共団体などとの間で調整を行いつつ、その実現に向け鋭意努力しているところである。

 

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