第5章 国民と防衛庁・自衛隊 

1 自衛隊の組織と人


自衛隊の組織
 防衛庁・自衛隊1は、わが国の防衛という任務を全うするため、実力組織である陸・海・空自衛隊2を中心に、防衛大学校、防衛医科大学校、防衛研究所、技術研究本部、契約本部、防衛施設庁など、様々な組織で構成されている。
 防衛庁長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する。その際、副長官及び2人の長官政務官が長官を助ける。また、事務次官が長官を助け、事務を監督することとされているほか、基本的方針の策定について長官を補佐する防衛参事官が置かれている。さらに、長官を補佐する機関として、内部部局、陸・海・空幕僚監部(ばくりょうかんぶ)及び統合幕僚会議(統幕)が置かれている。内部部局は、自衛隊の業務の基本的事項を担当し、官房長及び局長はその所掌に応じ、長官が各幕僚長又は統幕に対し指示・承認などを行うに際し補佐する。各幕僚監部は、各自衛隊の隊務に関する幕僚機関であり、陸・海・空幕僚長は、各自衛隊の隊務に関する最高の専門的助言者として長官を補佐する。また、統幕は、統合幕僚会議議長及び各幕僚長をもって組織され、自衛隊の出動時や、それ以外で統合運用が必要な場合3に、自衛隊に対する指揮命令の基本及び統合調整、統合部隊の運用などについて長官を補佐する。
 なお、平成17年度末に防衛庁・自衛隊は統合運用体制に移行する4
 防衛庁の省移行を巡る論議については、行政改革会議の最終報告(97(平成9)年)で、政治の場で議論すべき課題とされており、その後、国会で活発な議論がなされている。01(同13)年6月には、第151回通常国会で防衛省設置法案が議員提出され、それ以降継続審査の扱いとなっていたが、03(同15)年10月、第157回臨時国会において、衆議院が解散されたことに伴い廃案になった。
 近年、国の平和と安全を確保するための自衛隊の活動が以前にも増して必要とされ、また、不透明な国際情勢の中で世界平和へのわが国の貢献が求められている。防衛庁としては、このように自衛隊の任務や役割が増大している中、諸外国のように国防を担当する省を設けることは、安全保障、危機管理に取り組む国の体制を強化し、これを重視する国の姿勢を内外に示すこととなるため、重要であると考えている。

 
防衛庁の組織図(平成17年度末の改編以前)

 
防衛庁の組織の概要


 
1)「防衛庁」と「自衛隊」は、ともに同一の防衛行政組織である。
「防衛庁」という場合には、陸・海・空自衛隊の管理・運営などを任務とする行政組織の面をとらえているのに対し、「自衛隊」という場合には、わが国の防衛などを任務とする、部隊行動を行う実力組織の面をとらえている。


 
2)巻末「陸・海・空自衛隊の編成」、「主要部隊などの所在地」参照

 
3)出動とは、防衛出動、治安出動、警護出動のこと 自衛隊の統合運用が必要な場合とは、2以上の自衛隊が、次の行動などを命ぜられるか又は命ぜられることが予測される場合で長官が必要と認める場合・海上における警備行動・災害派遣、地震防災派遣、原子力災害派遣・国際緊急援助活動など・国際平和協力業務など・在外邦人などの輸送・「周辺事態安全確保法」の規定する対応措置(2章5節2参照)など

 
4)2章4節参照


 

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