第5章 国民と防衛庁・自衛隊 

第5章
国民と防衛庁・自衛隊


第1節 防衛力を支える基盤


 防衛力は、国の安全保障を最終的に担保するものであり、その機能は他のいかなる手段でも代替し得ない。したがって、時代に合致した防衛政策の下、防衛力を適切に整備、運用することが必要である。
 防衛力の中核である自衛隊は、わが国の防衛という国家存立にとって最も基本的な役割を担う専門の組織であり、そのために必要な各種機能を備えた様々な部隊、機関などで構成されている。
 自衛隊が任務を有効に遂行するためには、国民の理解と支援を得ることが不可欠であるとともに、人的及び物的な基盤を整えることが重要である。
 自衛隊の隊員は、その職務の特殊性のため、採用形態や処遇などにおいて一般の公務員とは異なる特徴1を持つ。人的基盤を充実させるためには、こうした特徴を反映した人事施策を行うとともに、隊員の高い士気及び厳正な規律の保持のため各種の施策を推進する必要がある。また、組織を効率的に運営し、多様な任務を遂行できるよう、隊員一人一人が、日々の教育訓練などを通じて自らを鍛練し、知識・技能を修得して向上させることも、人的な基盤の充実を図る上で不可欠である。
 さらに、人的基盤の充実に加えて、防衛力を支える基盤である情報通信機能の強化のための情報通信技術革命への対応、総合取得改革の推進などが不可欠である。
 また、防衛庁の取り扱う情報の中には、漏えいすればわが国の防衛などに著しく影響を及ぼしかねないものがあることから、これらの保全は、重要な課題である。
 本節では自衛隊の組織と人、防衛庁の組織に関する検討、教育訓練、情報通信能力などを強化するための取組、総合取得改革の推進、技術研究開発の充実、秘密保全に対する取組について説明する。


 
1)自衛隊員は、自衛隊法に定められた防衛出動などの任務に当たる必要があることから、国家公務員法第2条で特別職の国家公務員と位置付けられ、一般職公務員とは独立した人事管理が行われている。


 

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