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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

6 各国との比較

国防費について国際的に統一された定義がないこと、公表国防費の内訳の詳細が必ずしも明らかでないこと、各国で予算制度が異なっていることなどから、国防支出の多寡を正確に比較することは困難である。

そのうえで、わが国の防衛関係費と各国が公表している国防費を、経済協力開発機構(OECD:Organization for Economic Co-operation and Development)が公表している購買力平価7を用いてドルに換算するとともに、国防費の対国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)比を比較すれば、図表II-3-2-6(主要国の国防費比較(2023年度))のとおりである。

図表II-3-2-6 主要国の国防費比較(2023年度)

NATO(North Atlantic Treaty Organization)加盟国をはじめ各国は、安全保障環境を維持するために、経済力に応じた相応の国防費を支出する姿勢を示しており8、わが国としても、国際社会のなかで安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化を図るうえで、GDP比で見ることは指標として一定の意味がある。このことも踏まえ、国家安全保障戦略において、必要とされる防衛力の内容を積み上げた上で、同盟国・同志国などとの連携を踏まえ、国際比較のための指標も考慮し、わが国自身の判断として、2027年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組をあわせ、そのための予算水準が2022年現在のGDPの2%に達するよう、所要の措置を講ずることとしている9

また、1998年以降における主要国の国防費の推移は、図表II-3-2-7(主要国の国防費の推移)のとおりである。

図表II-3-2-7 主要国の国防費の推移

参照資料9(各国国防費の推移)

7 各国でどれだけの財やサービスを購入できるかを、各国の物価水準を考慮して評価したもの。なお、それぞれの通貨単位を外国為替相場のレートにより換算する方法もあるが、この方法で換算した国防費は、必ずしもその国の物価水準に照らした価値を正確に反映するものとはならない。

8 例えば英国は、長期的な目標として国防費を対GDP比2.5%まで拡大する方針を国防文書で示している。

9 令和6 (2024)年度における防衛力整備計画対象経費と「補完する取組」にかかる経費の合計額については、総額8.9兆円であり、国家安全保障戦略策定時(令和4年度(2022年度))のGDPとの比較では、約1.6%となっている。