防衛関係費は、隊員の給与や食事のための「人件・糧食費」と、装備品の調達・修理・整備、油の購入、隊員の教育訓練などのための「物件費」とに大別される。さらに、物件費は、過去の年度の契約に基づき支払われる「歳出化経費3」と、その年度の契約に基づき支払われる「一般物件費」とに分けられる。物件費は「事業費」とも呼ばれ、一般物件費は装備品の修理費、隊員の教育訓練費、油の購入費などが含まれることから「活動経費」とも呼ばれる。
歳出予算で見た防衛関係費は、人件・糧食費と歳出化経費という義務的性質を有する経費が全体の8割を占めており、残りの2割についても、装備品の修理費や基地対策経費などの維持管理的な性格の経費の割合が高い。
防衛関係費は、その使途に着目すると、隊員の給与や食事のための「人件・糧食費」、新しい装備品(戦車、護衛艦、戦闘機など)を購入するための「装備品等購入費」、隊員の教育訓練、艦船・航空機などの油、装備品の修理のための「維持費」など、格納庫・隊舎などの建設のための「施設整備費」、先端技術への投資のための「研究開発費」などに大別される。令和6(2024)年度防衛関係費では、令和5(2023)年度防衛関係費に引き続き、装備品等購入費と研究開発費を合わせて2割を上回るとともに、維持費などの割合も上昇している。
参照図表II-3-2-4(防衛関係費の使途別分類(令和6(2024)年度))
歳出予算とは別に、翌年度以降の支払を示すものとして新規後年度負担(その年度に、新たに負担することとなった後年度負担)がある。防衛力整備においては、艦船・航空機などの主要な装備品の調達や格納庫・隊舎などの建設のように、契約から納入、完成までに複数年度を要するものが多い。これらについては、その年度に複数年度に及ぶ契約を行い、契約時にあらかじめ次年度以降(原則5年以内)の支払いを約束するという手法をとっている(一般物件費と新規後年度負担の合計は、その年度に結ぶ契約額の総額(事業規模)であり、「契約ベース」と呼んでいる)。
参照図表II-3-2-5(防衛関係費の構造)