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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

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第1章 安全保障と防衛の基本的考え方

第1節 安全保障を確保する方策

国家の独立は、国が政治、経済、社会のあり方を自ら決定し、その文化、伝統や価値観を保つため、守らねばならないものである。また、平和と安全は、国民が安心して生活し、国が繁栄を続けていくうえで不可欠のものである。しかしながら、これらは、願望するだけでは確保できない。わが国自身の主体的、自主的な努力が必要である。

国民の命や暮らしを守り抜くうえで、まず優先されるべきは、積極的な外交の展開である。自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値や原則を重視しつつ、わが国と基本的な価値や利益を共にする米国との間の日米同盟1を基軸とし、同志国との連携、多国間協力を推進していくことが不可欠である。

同時に、外交には、裏付けとなる防衛力が必要である。戦略的なアプローチとして、自由で開かれたインド太平洋(FOIP:Free and Open Indo-Pacific)2のビジョンのもとでの外交を展開するとともに、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化などを進めていく。

わが国は、わが国だけで守れるものではない。もはやどの国も一国では自国を守ることは困難な状況にある。そのため、同盟国や同志国との連携が不可欠である。

わが国にとって望ましい安全保障環境を創出し、脅威の発生を予防する観点から、インド太平洋地域や国際社会の一員としての協力などの分野で防衛力が果たす役割の重要性は増している。

わが国は、このような防衛力の役割を認識したうえで、外交や経済などの分野も含め、様々な分野における努力を尽くすことにより、わが国の安全を確保するとともに、インド太平洋地域、ひいては世界の平和と安全を目指している。

航空観閲式における岸田内閣総理大臣と木原防衛大臣(2023年11月)

航空観閲式における岸田内閣総理大臣と木原防衛大臣(2023年11月)

参照図表III-3-1(自由で開かれたインド太平洋(FOIP)ビジョンにおける防衛省の取組(イメージ))2章2節「解説」(反撃能力)

1 一般的には、日米安保体制を基盤として、日米両国がその基本的価値や利益をともにする国として、安全保障面をはじめ、政治や経済の各分野で緊密に協調・協力していく関係を意味する。

2 2016年8月、安倍内閣総理大臣(当時)が提唱した、自由で開かれたインド太平洋を介してアジアとアフリカの連接性を向上させ、地域全体の安定と繁栄の促進を目指す考え方。