これまで「強い国家」や「影響力ある大国」を掲げ、ロシアの復活を追求してきたプーチン大統領は、2022年2月24日、ウクライナに対する全面的な侵略を開始した。ロシアによるウクライナ侵略は、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国連憲章を含む国際法の深刻な違反であるとともに、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、欧州方面における防衛上の最も重大かつ直接の脅威と受け止められている。
また、ロシアは、今後も戦略的核兵器の近代化に取り組む姿勢を明確にするとともに、ウクライナ侵略を継続するなかにあって、2024年5月に、5期目に就任したプーチン大統領が、改めて核戦力について言及するなど、核兵器による威嚇とも取れる言動を繰り返している。
わが国周辺のロシア軍についても、近年、新型装備を導入し、活発な活動を継続しているほか、中国軍と爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行や、演習への相互参加を継続するなど、中国との戦略的な連携を強化する動きもみられる。わが国を含むインド太平洋地域におけるロシアの軍事動向などは、こうした中国との戦略的連携と相まって安全保障上の強い懸念であり、ウクライナ侵略における動きも踏まえつつ、注視していく必要がある。