2022年は、国際平和協力法が制定・施行され、陸上自衛隊の施設部隊が国連平和維持活動(PKO)を行う国連カンボジア暫定機構(UNTAC)に派遣されてから30年という節目の年になります。カンボジアへの派遣以降、これまで、防衛省・自衛隊は、ゴラン高原、東ティモール、ハイチ、南スーダンといった世界の様々な地域に要員を派遣し、現在も、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に司令部要員を4名派遣し、また、シナイ半島の多国籍部隊・監視団(MFO)にも司令部要員を2名派遣するなど、世界の平和と安定に貢献しています。
また、防衛省・自衛隊は、国連PKO等への派遣を通じて蓄積した経験・能力を活かした取組も推進しています。具体的には、日本が国連と共に立ち上げた国連三角パートナーシッププログラム(UNTPP)の下、自衛隊が得意とし、高い評価を得てきた施設・医療分野について、アフリカ・アジア各国の軍事要員に対して、陸上自衛官の教官団による訓練を実施し、自国要員の派遣を通じてPKOを支えるアフリカ・アジアの要員派遣国の能力構築を支援しています。さらには、PKOに関する各国のノウハウを集約しつつ、各国派遣部隊の活動を標準化することを通じて、各PKOミッションのパフォーマンス向上を図るため、国連が要員派遣国と協力して進めているPKO軍事部隊マニュアル策定の取組においても、陸上自衛隊が施設分野のマニュアル策定を主導するなど、多面的なアプローチで国連PKOに対する貢献を行っています。加えて、2020年には、要員派遣国のPKOへの展開における航空輸送支援のため、国連平和維持活動即応能力登録制度(PCRS)に、航空自衛隊の輸送機を登録しました。
他国との二国間協力においても、カンボジア、モンゴル及びベトナムに対して道路測量や道路施工に関する教官育成や派遣部隊の物品梱包に関する知見共有・実技支援といった分野の能力構築支援を実施してきました。また、多国間の枠組みにおいては、防衛省は、2021年から2024年の間、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)PKO専門家会合の共同議長をベトナムと務めており、ASEANをはじめとした参加国の国連PKOに関する知見・経験の共有や能力向上に貢献しています。
自衛隊の活動は国際社会から高い評価を受けています。防衛省・自衛隊は、今後も、これまでの活動実績を踏まえ、自衛隊の強みを活かした活動を通じて、一層積極的に世界の平和と安定に貢献していきます。
2019年6月UNTPPアフリカ第7回訓練 集合写真
カンボジアPKO現地の様子(平成24(2012)年度防衛白書から転載)
国連メダル授与式参加中の情報幕僚