わが国における経済安全保障上の課題については、国家安全保障局をはじめとする関係省庁が一体となり、国際連携を図りつつ、産学官が連携して、各種政策を推進していくこととしている。
そのうえで、わが国経済構造の自律性の確保、わが国の優位性・不可欠性の獲得、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持・強化を達成するため、これまでも、外為法に基づく対応の強化をはじめとして、既存の法制の中で経済安全保障の推進に資する多岐にわたる取組1を推進してきた。
さらに、取組を加速する観点から、2021年10月には、初めて経済安全保障を担当する国務大臣を新設した。加えて、内閣官房に経済安全保障法制準備室(以下「法制準備室」)を設置し、2022年5月には、サプライチェーンの強靭化、基幹インフラの安全性・信頼性の確保、先端的な重要技術についての官民協力、特許出願の非公開に関する制度整備を行うことにより、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するための「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」が成立した。
また、「経済財政運営と改革の基本方針」(令和3年6月18日閣議決定)を踏まえ、経済安全保障強化に向けて新たな枠組・取組が進展していく中で5,000億円規模とすることを目指す「経済安全保障重要技術育成プログラム」も開始した。本プログラムは、AI、量子などの先端技術を含む研究開発を対象に、内閣官房、内閣府その他の関係府省が一体となって、国のニーズを実現する研究開発プロジェクト及び研究開発プロジェクトの高度化や個別技術を実現する個別研究を実施するもので、その研究成果は、民生利用のみならず安全保障を含む公的利用につなげていこうとするものである。