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<VOICE>国家行事(即位礼正殿の儀)での儀礼(礼砲)

陸上自衛隊第1特科隊(山梨県南都留郡忍野村)
中隊長 1等陸尉 児玉 義信(こだま よしのぶ)

「即位礼正殿の儀」に際し、自衛隊が実施する儀礼に礼砲中隊長として参加することを第1特科隊長(礼砲隊長)から命ぜられ、天皇陛下の即位の儀式にかかわることに、私は表現し難いほどの高揚感と緊張感を感じました。

礼砲というのはただ単に空砲を撃つという任務ではなく、約850m離れた北の丸公園で射撃した砲音を皇居における内閣総理大臣の万歳のタイミングに合わせて正確に伝えるとともに、1発も不発させることなく5秒ごとに21発を撃つという、極めて高度な練度を必要とする任務であり、音の伝搬速度を考慮した発射のタイミングが最も重要となります。

難しい任務である以上、訓練は厳しいものでした。それにも関わらず、隊員達は訓練に対し貪欲であり、本番まで全ての時間をこの任務のために費やしました。これほどの集中力を継続できた要因は私の指揮・統率よりも間違いなく隊員自身の使命感の顕れであったと思います。使命感を持ち一つの目標に向かっていく時の力の大きさを実感できた大変意義深い任務でした。北富士駐屯地に所在する礼砲任務を有する第1特科隊に所属していたこと、そしてこの任務を頂けた事に深く感謝いたします。

北の丸公園で礼砲を実施する礼砲中隊

北の丸公園で礼砲を実施する礼砲中隊

礼砲中隊を指揮する筆者(1番手前)

礼砲中隊を指揮する筆者(1番手前)