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<解説>PFOS(ピーフォス)等をめぐる問題への取組について

有機フッ素化合物であるPFOSは、水と油をなじませる性質を持っており、過去には、半導体工業での表面処理剤や泡消火薬剤などの用途に広く使用されていました。しかし、分解されにくく、人体や環境に蓄積して悪影響を及ぼすおそれがあることから、09(平成21)年に「POPs(ポップス)条約※1」、10(平成22)年に「化審法※2」において、制限の対象物質として指定されました。また、昨年、「POPs条約」において、同じ有機フッ素化合物であるPFOAに対する制限が設けられ、さらには、有機フッ素化合物全体の総称であるPFASの扱いについても国際的な関心が高まっています。

日本国内では、様々な河川等で高濃度のPFOS・PFOAが検出され、国民の不安が高まっていることを踏まえ、現在、政府全体として取組を進めています。具体的には、関係省庁において水道水や水環境に関する目標値が設定されたほか、防衛省においては、自衛隊の安定的な運用に不可欠である、地域のご理解を促進し、信頼を確保していくため、本年2月にPFOS含有泡消火薬剤等の交換・処分の加速を目的とした計画を策定し、施設等においては来年度末までに、艦船等については令和5(2023)年度末までに、処理を完了することを目指しています。

また、米国内においても本年3月に米国防省のタスクフォースによる報告書が公表されるなど検討が進展しており、在日米軍における対応を含め、河野防衛大臣とエスパー米国防長官によるイニシアチブのもと、様々なレベルで日米間の協力に関する議論を行っているところです。

このような中、本年4月に普天間飛行場で泡消火剤の大規模な流出事故が発生したことは、大変遺憾であり、防衛省としては、飛行場外の保育園、河川等で清掃や汚染状況の調査を実施したほか、飛行場内において環境事故発生時には初となる環境補足協定に基づく立入りを計5回にわたり行い、水、土壌のサンプリングを実施するなど、関係省庁、関係自治体及び米側と協力し対応を行いました。引き続き、国内・国外における取組全体を踏まえながら、PFOS等をめぐる問題に対して、地元の皆様の不安を払拭できるよう、引き続き関係省庁、関係自治体及び米側と密接に連携して取り組んでまいります。

土壌サンプルの受け渡し状況

土壌サンプルの受け渡し状況

※1 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約

※2 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律