内部部局防衛政策局国際政策課
防衛部員 石田 智範(いしだ とものり)
防衛省・自衛隊は、16(平成28)年に日ASEAN防衛協力の指針として「ビエンチャン・ビジョン」を発表し、「法の支配」に基づく海洋秩序の実現を主眼に、ASEAN全体への寄与を目指した取組を展開してきました。その成果を踏まえて協力の方向性を更に敷衍したものが、昨年11月の日ASEAN防衛担当大臣会合で打ち出された「ビエンチャン・ビジョン2.0」です。
その最大の特徴は、ASEANの強靭性(レジリエンス)に寄与するものとして日本の取組を捉え直した点です。多様な国々からなるASEANは、一体となって地域協力の進展に中心的な役割を果たすことにより、国際的な存在感を発揮していこうと懸命です。そのようなASEANの中心性と一体性を下支えするためにも、外部からの圧力や脅威に自律的に対処してそれを弾き返す、そうしたASEANの強靭性に寄与していくことが重要、との考えを打ち出しました。また、より高次の政策指針である「自由で開かれたインド太平洋」構想の文脈に、ビジョンを明示的に位置づけ直したことも大きなポイントです。
策定にあたっては、局内はもとより各幕、防衛研究所の専門家に至るまで文字通り全省的に検討を実施いただきました。その過程を通じ、ビジョンの先にある新たな施策についての検討も深まるなど、日ASEAN防衛協力の進展に確かな手ごたえを感じています。
「ビエンチャン・ビジョン2.0」が発表された、
第5回日ASEAN防衛担当大臣会合の様子
会議中の筆者の様子