自衛隊中央病院(東京都世田谷区)
呼吸器内科医官 1等陸尉 児玉 達哉(こだま たつや)
私は、20(令和2)年2月より自衛隊中央病院で新型コロナウイルスに感染した患者の診療に従事しています。特に、重症患者対応班として、人工呼吸器などを必要とする重篤な症例に対し、様々な診療科の医官と診療科の枠組みを超えて意見を出し合い、力を合わせて診療にあたっています。
当院は、2月上旬より、武漢からの帰国者や、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗員・乗客を皮切りに新型コロナウイルス感染症患者の受入れを開始しました。当初は、感染症の病態や治療に関して不明な点が多いことや、院内感染のリスクや海外からの患者の受入れにおける言語の壁もあり、医療従事者や病院職員は肉体的にも精神的にもストレスを感じながら任務にあたっていました。
しかし、担当した重症の方々が回復・退院された際には、医療者として大きな充実感を味わうことができました。また、この国難の最前線で働くことができ、さらにこの感染症に関する新たな知見の発信や院内感染防止の取組が高い評価を得たことを、医官として誇りに思っております。今後、この経験を後輩に伝えていくとともに、次なる新興・再興感染症の流行への対応に活かしていきたいと考えています。
感染症対応医師による電子カルテを用いたミニカンファレンス(筆者:前列右)
重症患者対応時の個人用防護具を装着した筆者(筆者:左)