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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

➋ 在外邦人等の保護措置及び輸送への対応

1 基本的考え方

防衛大臣は、外国での災害、騒乱、その他の緊急事態に際し、外務大臣から在外邦人等の警護、救出など、又は輸送の依頼があった場合、外務大臣と協議をしたうえで、自衛隊法第84条の3(在外邦人等の保護措置)又は同法第84条の4(在外邦人等の輸送)に基づき、当該在外邦人等の保護措置又は輸送を行うことができる。

2 防衛省・自衛隊の取組

在外邦人等の保護措置又は輸送を迅速かつ適確に実施するため、自衛隊は、部隊を速やかに派遣する態勢をとっている。具体的には、陸自ではヘリコプター部隊と陸上輸送を担当する部隊の要員を、海自では輸送艦などの艦艇(搭載航空機を含む)を、空自では輸送機部隊と派遣要員をそれぞれ指定するなどの待機態勢を維持している。

また、これらの行動においては、陸・海・空自の緊密な連携が必要となるため、平素から統合訓練などを行っている。19(令和元)年12月には、国内において在外邦人等の保護措置における一連の行動及び関係機関との連携要領を訓練し、統合運用能力の向上及び関係機関との連携強化を図った。さらに、毎年タイで行われている多国間共同訓練「コブラ・ゴールド」の機会を活用し、20(令和2)年2月から3月には、関係省庁、在タイ日本国大使館などの協力のもと、在留邦人などの参加も得つつ、在外邦人等の保護措置における一連の活動を訓練し、防衛省・自衛隊と外務省との連携を強化した。

「コブラ・ゴールド20」における在外邦人等の保護措置訓練において、空自C-130Hに搭乗する在留邦人(20(令和2)年2月)

「コブラ・ゴールド20」における在外邦人等の保護措置訓練において、
空自C-130Hに搭乗する在留邦人(20(令和2)年2月)

防衛省・自衛隊は、これまで、次の4件の在外邦人等の輸送を実施している。04(平成16)年4月のイラクにおける邦人を含む外国人拘束事件に際し、空自C-130H輸送機により、邦人10名をイラクからクウェートまで輸送した。13(平成25)年1月のアルジェリアにおける邦人拘束事件において、政府専用機により、邦人7名及び被害邦人の御遺体(9人)を本邦に輸送した。16(平成28)年7月のバングラデシュにおけるダッカ襲撃テロ事件において、政府専用機により、被害邦人の御遺体(7人)と御家族などを本邦に輸送した。

同年7月の南スーダンにおける情勢悪化に際しては、空自C-130H輸送機により、大使館職員4名をジュバからジブチまで輸送した。

参照II部5章1節3項6(在外邦人等の保護措置・輸送)