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<解説>「いずも」型護衛艦の改修について

近年、諸外国の航空戦力の近代化が著しい状況にあり、また、わが国の南西諸島の列島線を超えて、太平洋側に進出する戦闘機や爆撃機の飛行が増加するなど太平洋の空域における軍用機の活動が急速に拡大し、かつ、活発化しています。こうした状況は、2013(平成25)年に25大綱を策定した時点までには見られなかったものであり、今後、一層の拡大・活発化が見込まれます。

こうした状況の中でわが国の防衛に万全を期すためには、高い性能を有する戦闘機を用いて航空優勢を間断なく確保できるよう、より多くの飛行場から対処が行えるなど、その柔軟な運用を確保することが極めて重要です。この点、国土が狭隘で活用できる滑走路にも限界があるわが国の特性を踏まえれば、護衛艦からの短距離離陸・垂直着陸が可能な戦闘機(STOVL機)の運用は、その実現によって戦闘機の運用の柔軟性を一層向上させ、特に、飛行場が1か所(硫黄島)しか存在せず、自衛隊の展開基盤が乏しい太平洋上での防空任務の円滑な実施に大きく貢献するものです。

「いずも」型護衛艦の改修について

このような観点から、新たな安全保障環境に対応し、広大な太平洋側を含むわが国の海と空の守りについて、自衛隊員の安全を確保しながら、しっかりとした備えを行うためには、「いずも」型護衛艦を改修し、洋上においてSTOVL機の離発着を可能とすることが必要不可欠であり、これは自衛のための必要最小限度のものです。

なお、「いずも」型護衛艦は、ヘリコプター運用機能、対潜水艦作戦機能、指揮中枢機能、人員や車両の輸送機能、医療機能等を兼ね備えた「多機能な護衛艦」です。今後、これに航空機の運用機能が加わっても、引き続き「多機能な護衛艦」として活用することに変わりなく、有事における航空攻撃への対処、警戒監視、訓練、災害対処など、必要な場合に、STOVL機を搭載した運用を行うこととしています。