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第III部 わが国の防衛のための取組

2 日米安全保障体制を支える基本的枠組み

日米両国は、日米安保条約が締結されてから今日に至るまで、前項で説明したような意義を持つ日米安保体制を基調とする協力関係の実効性を確保するために、不断の努力によって、同盟関係をその時々の安全保障環境の変化に応じて発展させてきた。その努力は、日米間の緊密な政策協議という枠組みにおいて、両国間の防衛協力に関する様々な取組として結実してきた。

その政策協議の代表的なものとして、防衛・外務の閣僚級協議の枠組みである日米安全保障協議委員会(「2+2」会合)があるが、これは、安全保障分野における日米協力にかかわる問題を検討するための重要な協議機関として機能している。

また、わが国に対する武力攻撃などへの対処にあたっての日米両国の役割など、日米防衛協力の基本的な枠組みや方向性などを表したものとして、「日米防衛協力のための指針」(「指針」)がある。さらに、自衛隊と米軍は、平素から日米共同訓練を行い、相互運用性および日米の共同対処能力向上に努めており、日米安保体制の信頼性と抑止力の維持・向上に大きく寄与している。このほか、国際平和協力活動や武力攻撃事態などの際に、自衛隊と米軍との間で物品や役務の提供を可能とする日米物品役務相互提供協定(ACSA:Acquisition and Cross-Servicing Agreement)を締結している。加えて、BMD(Ballistic Missile Defense)用能力向上型迎撃ミサイルに関する日米共同開発など、装備・技術面での協力や東日本大震災における「トモダチ作戦」に見られるような大規模災害における協力も行っている。

わが国は、自国の安全に加え、アジア太平洋地域をはじめとする国際社会の平和と安定および繁栄の維持・増進を図るため、以上のような基本的枠組みを基礎として、日米同盟の抑止力および対処力の強化や幅広い分野における協力の強化・拡大により、日米安保体制の実効性を高めることで日米同盟を強化している。