第II部 わが国の防衛政策と日米安保体制
3 海洋の安全確保

わが国は、6,000を超す多くの島々から構成され、その領海と排他的経済水域は、国土面積約38万km2の約12倍、世界第6位の約447万km2に及ぶ海洋国家である。したがって、海洋の平和的・積極的な開発・利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋国家を実現することが重要である。このため、政府は、海洋基本法に基づき、海洋に関する施策を集中的かつ総合的に推進するため内閣に総合海洋政策本部を置き、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、海洋に関する諸施策についての基本的な方針として海洋基本計画を08(同20)年3月に閣議決定している。
12(同24)年は、海洋基本法に定める<1>総合海洋政策本部についての総合的検討、<2>海洋基本計画の見直しを行う5年目の年にあたるため、関係省庁などと連携のもと、内閣官房総合海洋政策本部事務局を中心に海洋基本計画の見直しを行い、13(同25)年4月26日、新たな海洋基本計画を閣議決定したところである。
新たな海洋基本計画は、近年、海洋を巡る社会情勢等の変化を踏まえ、<1>国際協調と国際社会の貢献、<2>海洋の開発・利用による富と繁栄、<3>「海に守られた国」から「海を守る国へ」、<4>未踏のフロンティアへの挑戦といった海洋立国日本の目指すべき姿を明記し、今後おおむね5年間に集中的に実施すべき施策等、総合的・計画的推進が必要な海洋施策を定めている。
また、我が国の安全保障上、重要な施策が盛り込まれており、具体的には、周辺海域の安全保障や治安の確保の観点から、自衛隊の艦艇・航空機などの計画的な整備、自衛隊と海上保安庁との連携強化やソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動の継続等の海洋の安全の確保に取り組むこととしている。
さらに、我が国の安全保障および海洋秩序の維持の観点から、重要離島およびその周辺海域における監視・警戒を適切に実施するとともに、南西諸島を含む島嶼部の防衛態勢強化にかかる事業を推進し各種事態生起時の対応に万全を期すこととしている。
このため、防衛省は、平成25年度において、<1>固定翼哨戒機、護衛艦や潜水艦の建造など海上の安全確保のための装備の整備、<2>潜水艦などの静粛化などに対応したソーナー・技術などの研究開発、<3>ソマリア沖・アデン湾における海賊対処、<4>不審船対処にかかる共同訓練といった海上保安庁との連携強化、<5>海洋安全保障に関する多国間会議・訓練への参加などに取り組むこととしている。
参照 III部2章3節
国際社会においては、海賊、違法投棄、密輸・密入国、災害救援といった問題に加え、領有権をめぐる争いや海上の「ルール」の解釈の違いといったものまで、様々な安全保障上の課題に直面している。
アジア太平洋地域においても、ASEAN地域フォーラム(ARF:ASEAN Regional Forum)、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス:ASEAN Defence Ministers' Meeting)といった地域の安全保障対話の枠組において、海上安全保障のための協力や信頼醸成の取組が行われている。防衛省も海上安全保障分野における会期間会合(ISM-MS:Inter-Sessional Meeting on Maritime Security)など、こうした枠組に活発に参加している。
参照 III部2章1節

次期固定翼哨戒機P-1
次期固定翼哨戒機P-1
 
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