第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

2 今後の方針

 日米両国は、両国間の協議において共有してきた前述の認識や「共同発表」において示された決意などを踏まえ、日米同盟をさらに揺るぎないものとするため、今後、幅広い分野における日米安保協力をさらに推進し、深化するための対話を強化することとした。このため、今後、閣僚レベルで、また閣僚の指示のもと事務レベルにおいても、日米間で具体的な協議が進められることになった。
 現在、日米同盟を深化させるプロセスを推進させるため、09(同21)年11月13日の日米首脳会談でも取り上げられた拡大抑止、情報保全、ミサイル防衛、宇宙などの分野をはじめ、さらには人道支援・災害救援やサイバーを含む個別の安全保障分野について、具体的にどのような協力ができるのか日米間で協議を行っているところである。
 たとえば、東アジアを中心とする地域における安全保障環境については、本章3節で後述する02(同14)年以降の日米協議における議論を踏まえ、05(同17)年の「2+2」共同発表に盛り込まれた共通戦略目標の基盤となる共通認識が日米間で共有されているが、10(同22)年1月12日の日米外相会談では、同盟深化のプロセスを、東アジアの安全保障環境の分析や日米の能力の検討を共同で行うことから始めるとの認識で一致しており、今後、地域情勢の変化などを踏まえ、日米両国の情勢認識を確認し、日米がいかなる分野で協力を進めるべきか、また、それぞれどのような態勢整備を進めるべきかについて意見交換を行っていくことが考えられる。
 また、米国防省は、10(同22)年2月1日に「4年ごとの国防計画の見直し」(QDR:Quadrennial Defense Review)および「弾道ミサイル防衛見直し」(BMDR:Ballistic Missile Defense Review Report)、4月6日に「核態勢の見直し」(NPR:Nuclear Posture Review)を発表しているが、これらの安全保障政策にかかる文書の策定プロセスにおいては、わが国も防衛計画の大綱の見直し作業を進めていることもあり、日米間で緊密な意見交換がなされており、引き続き、戦略的な視点から、意見交換を行っていくこととしている。特に、米国の拡大抑止については、07(同19)年5月の「2+2」共同発表において、「日本の防衛及び地域の安全保障を支えるもの」であり、「米国は、あらゆる種類の米国の軍事力(核・非核の双方の打撃力や防衛能力を含む)が、拡大抑止の中核を形成し、日本の防衛に対する米国のコミットメントを裏付けることを再確認した。」とされているところであるが、同盟深化のプロセスにおいても、引き続き拡大抑止の重要性に関する認識を日米両国で共有するとともに、10(同22)年のQDRおよびNPRの公表を踏まえ、従来からの議論をさらに深めているところである。
 情報保全については、10(同22)3月30日、日米外相会談において、日米両国の関係省庁からなる「情報保全についての日米協議」(BISC:Bilateral Information Security Consultation)を設置することについて一致しており、今後、この協議などを通じて、情報保全体制の一層の強化を図るとともに、日米間の情報共有を一層促進していくこととしている。

参照 2節3節23節3

 

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