第2章
防衛大綱と防衛力整備
第1節 防衛大綱策定の基本的考え方
「防衛計画の大綱」(防衛大綱)は、わが国の安全保障の基本方針、防衛力の意義や役割、さらには、これらに基づく、自衛隊の具体的な体制、主要装備の整備目標の水準といった今後の防衛力の基本的指針を示すものである。
防衛大綱は、76(昭和51)年の「昭和52年度以降に係る防衛計画の大綱について」
1(51大綱)、95(平成7)年「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱について」
2(07大綱)と、以前に2度策定されており、現在の防衛大綱は、9.11テロ後の国際安全保障環境に的確に対応するため、防衛庁(当時)内での「防衛力のあり方検討会議」や安全保障会議など
3における検討を経て、「平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について」(16大綱)として、04(同16)年に策定されたものである。
16大綱は、策定から5年後には、その時点における安全保障環境、技術水準の動向などを勘案し検討を行い、必要な修正を行うこととされている。16大綱の見直しは、当初、09(同21)年内に行われる予定であった。しかしながら、同年実施された総選挙の結果、政権交代という歴史的な転換があり、16大綱の見直しという国家の安全保障にかかわる重要な課題については、新しい政府として十分な検討を行う必要があると判断された。このため、16大綱の見直しについては10(同22)年中に結論を得ることとされた。
その結果、16大綱の見直しの結論は、平成23年度以降の予算に反映されることになったため、平成22年度においては、16大綱の考え方に基づき防衛力を整備することとされた。
また、16大綱の見直しの際には、国際情勢の動向やわが国を取り巻く安全保障環境、わが国の防衛力や自衛隊の現状などを分析、評価した上で、わが国の安全保障の基本方針を策定するとともに、効果的な防衛力の効率的な整備に向けて取り組むこととされている。
本節では16大綱策定の背景および基本的な考え方について、また第2節ではその内容について説明した上で、第3節ではその見直しの背景などについて説明する。
参照 資料7