第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 総合取得改革推進のための取組

 07(同19)年10月には「総合取得改革の加速に関する大臣指示」を受け、防衛大臣政務官を長とする「総合取得改革推進プロジェクトチーム」が設置された。昨年3月に公表された総合取得改革推進プロジェクトチーム報告書(報告書)4では、(株)山田洋行などによる過大請求事案などを踏まえた一般輸入調達問題への対応やLCC管理の強化、コスト抑制のための達成目標の設定などの施策をとりまとめたところである。
 報告書は、着実な改革推進の筋道を明確にすべく、個別の施策のスケジュールを極力具体的に記述しており、これらに従い、各担当部署が作業を進めている。
 昨年7月30日および12月25日には、プロジェクトチーム会合を開催し、継続的に個別施策毎の進捗状況を確認しているところであり、現在までの主要施策の進捗状況は次のとおりである。

(1)一般輸入調達問題への対応
1) (株)山田洋行による過大請求事案を踏まえ、再発防止のために一般輸入調達の際における特約条項(見積書などの直接照会、過大請求に対する違約金を従来の2倍へ増額など)を新設(昨年4月〜)、海外製造メーカー向けの説明会(昨年7月)など直接契約の環境を整備、商社の経理会計システムなどを調査する輸入調達調査を導入(昨年12月)
2) 価格調査機能の強化のため価格調査要領を定め(昨年9月)、在米輸入調達専門官を3名から10名に増員・派遣(昨年10月〜)
3) 装備施設本部に輸入調達課を設置(本年度)

(2)ライフサイクルコスト(LCC)管理の強化
1) 装備施設本部にライフサイクルコスト管理室を設置(本年度)
2) 平成21年度からの本格実施に向けた試行作業の実施(試行対象機種についてのLCC年次報告書の作成、大臣報告)(昨年3月〜)
3) LCC研究・教育の推進(昨年6月に米国防省・宇宙航空研究開発機構(JAXA:Japan Aerospace Exploration Agency)とセミナーを開催するなど)

(3)コスト抑制のための達成目標の設定
1) 防衛装備品の研究開発、調達、維持管理にかかる経費について、平成18年度と比較して、平成23年度までに15%のコストを縮減することを目標として設定
2) コスト縮減率:平成19年度約8.8%(約1,700億円の縮減)、昨年度(暫定値)約8.6%(約1,700億円の縮減)、本年度(暫定値)約13.9%(約2,800億円の縮減)

参照 II部2章5節

(4)インセンティブ契約制度の拡充
 インセンティブ契約5制度全般を見直して企業のコストダウン活動全般を対象とし、企業提案に対して審査手続の面から改善を図るなど、より実効性の高い新たな制度を施行し、1件を採用(昨年10月)

(5)中央調達・地方調達見直し
1) 透明性の一層の向上のため、地方調達の高額な随意契約(中央調達と同じ基準である1.5億円以上)を大臣承認事項に改正(昨年7月〜)
2) 中央・地方調達データを一元的に管理するための、システム構築に着手(本年度〜平成22年度)

(6)その他
1) 統合運用に加え、補給・整備・調達・教育などの効率化の視点を防衛力整備に反映させるため、統合幕僚監部に「統合装備検討調整委員会」を設置(昨年7月)
2) 開発経費の抑制などの総合取得改革の観点を重視した新たな評価体制として、技術評価委員会を設置(昨年5月)


 
4)<http://www.mod.go.jp/j/info/sougousyutoku/index.html

 
5)受注する民間企業の努力によりコストの低減が生じた場合に、低減額の一部を企業側に付与することにより、民間企業のコスト削減への動機付け(インセンティブ)を高め、調達価格の低減を実現する制度


 

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