第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

2 通常戦力など


 通常戦力については、限られた資源を優先的に一部の部隊に投入し、その即応態勢の維持に努めてきた3。ロシア軍は、各軍種の練度の回復に努めており、欧州方面などにおいて、通常戦力による大規模な演習を行っている。(コラム参照)また、「2007年から2015年までの装備国家綱領」により、通常戦力についても装備の開発・調達などが行われる予定である。しかし、若年人口の減少、低劣な軍人の生活環境などの結果、人材確保難や軍の規律の弛緩(しかん)4といった課題もあり、通常戦力の近代化の進展は必ずしも十分ではない。
 ロシア軍の将来像については、今後のロシアの経済発展と社会発展の水準に左右される不透明な部分もあり、今後の動向について引き続き注目していく必要がある。


 
3)師団と旅団の一部が常時即応部隊に指定され、これ以外の部隊については、装備は十分に備えているが、人員充足率は極めて低いとみられている。

 
4)00(平成12)年にはバレンツ海で北洋艦隊の原子力潜水艦「クルスク」の沈没事故が、05(同17)年にはカムチャツカ半島沖で小型潜水艇が浮上不能になる事故が発生したほか、しばしば航空機やヘリコプターの事故も起きている。


 

前の項目に戻る     次の項目に進む