5 わが国の周辺のロシア軍
1 全般
極東地域のロシア軍の戦力は、ピーク時に比べ大幅に削減された状態にあるが、依然として核戦力を含む相当規模の戦力が存在している。訓練活動などの減少傾向は、下げ止まり、近年は練度回復を図る中にあって、活発化の傾向もみられる。なお、同地域では、03(平成15)年以降、大規模な対テロ演習である「ボストーク」が隔年で開催されているほか、常時即応部隊によるロシア西方から極東地域への機動展開演習である「モビリノスチ2004」などの演習が行われている。また、昨年は、極東地域での航空・後方訓練である「クルイロ2007」も行われている。
極東地域のロシア軍の将来像については、ロシア軍全般が戦略核部隊の即応態勢を維持し、常時即応部隊の戦域間機動による紛争対処を重視する傾向にあることを踏まえつつ、その位置付けや動向について、引き続き注目しておく必要がある。
(図表I-2-4-3参照)
(1)核戦力
極東地域における戦略核戦力については、SS-25などのICBMや戦略爆撃機Tu-95MSベアーがシベリア鉄道沿線を中心に配備され、SLBMを搭載したデルタIII級SSBNなどがオホーツク海を中心とした海域に配備されている。これら戦略核部隊については、即応態勢がおおむね維持されている模様である。
非戦略核戦力については、極東地域のロシア軍は、中距離爆撃機Tu-22Mバックファイア、海上(水中)・空中発射巡航ミサイルなど多様な装備を保有している。バックファイアは、バイカル湖西方、サハリン対岸地域および沿海地域に約70機配備されている。
(2)陸上戦力
極東地域の地上軍の兵力は、90(同2)年以降、その規模は縮小傾向にあり、現在、15個師団約9万人
1となっている。
また、海軍歩兵師団を擁しており、水陸両用作戦能力を有している。
(図表I-2-4-4参照)