第III部 わが国の防衛のための諸施策 

1 自衛官の教育

(1)教育の現状

 部隊を構成する自衛官個々の能力を高めることは、部隊の任務遂行にとって不可欠な要素である。このため、自衛隊の学校や教育部隊などで、入隊直後の基礎教育から始まる在職期間全体を通じた階級や職務に応じた教育など、段階的かつ体系的な教育を行い、必要な資質を養うと同時に、知識および技能を修得させている。
 また、専門の知識・技能をさらに高める必要がある場合や、それらを自衛隊内で修得するのが困難な場合などには、海外留学を含め、部外教育機関2、国内企業、研究所などに教育を委託している。今後も隊員の資質と知識・技能をさらに高めるため、広く部外教育機関などの協力を得つつ、教育を委託していくこととする。

参照>資料57

(2)統合教育

 昨年3月から、統合運用体制が開始された。これをより充実させるためには、統合運用に関する知識・技能が不可欠であり、統合教育は重要な基盤の一つである。そこで自衛隊は、各自衛隊の幹部学校3などにおける統合教育をさらに充実させたほか、上級部隊指揮官または上級幕僚となる幹部自衛官が統合教育を受ける統合幕僚学校4を主体とする統合教育体系を形成した。

(3)時代に適合した教育

 自衛隊の国際社会での活動の機会や諸外国とのかかわりは、ますます増大している。このため、前述の教育に加え、英語、ロシア語、中国語、韓国語、アラビア語などの外国語教育を行うとともに、相互理解を目的に留学生を受入れている。さらに、国際平和協力活動を継続的かつ効率的に実施し得るよう、本年3月には、陸自中央即応集団の隷下に国際活動教育隊が新編された。

参照>3章1節
参照>資料58
参照>資料59

 
2)今年度の部外教育機関は、国内では東京大学、早稲田大学など、海外では米国国防大学、ハーバード大学など。
 
3)各自衛隊の幹部自衛官などに対する、安全保障や防衛戦略などの教育などを行う各自衛隊の機関
 
4)統合幕僚学校(統幕学校)は、統合幕僚監部に附置される学校で、幹部自衛官に対し統合運用に関する教育を行っている。

 

前の項目に戻る     次の項目に進む