第5章 国民と防衛庁・自衛隊 

5 総合取得改革の推進


 防衛力の整備、維持及び運用に際しては、装備品などを効果的かつ効率的に取得することが必要である。防衛庁では、効率的な調達補給態勢の検討と整備を行うことを目的として、96(平成8)年に取得改革委員会を設置し、98(同10)年に同委員会での検討結果を取りまとめた1
 また、調達実施本部をめぐる背任事件2を受け、透明で公正な調達制度の構築を図るため、98(同10)年、防衛調達制度調査検討会を開催するとともに、同年、防衛調達改革本部を設置し、99(同11)年、「調達改革の具体的措置」3をまとめた。
 これらに基づき、防衛庁では、調達制度・機構の改革、隊員の再就職のあり方の見直しなど4に関する各種の改革施策を推進してきた。5
 さらに、これまで取り組んできた調達制度・機構の改革などの成果を踏まえつつ、最近の軍事科学技術の発展などに伴う環境の変化に対応し、研究開発から調達・補給・ライフサイクル管理などに関する抜本的な改革を進めるとともに、わが国にとって真に必要な防衛生産・技術基盤の確立を図るため、03(同15)年9月に、取得改革委員会及び防衛調達改革本部を廃止し、防衛庁長官を委員長とする総合取得改革推進委員会を設置した。本委員会においては、1)装備品などの調達・補給・ライフサイクル管理の合理化・効率化、2)研究開発態勢の見直し、3)真に必要な防衛生産・技術基盤の確立という三つのテーマについて幅広い検討を行い、この検討を一過性に終わらせずフォローアップを行うとともに、これを公表することとし、昨年7月及び本年3月に、その取組の状況について中間的な取りまとめ6を行った。
 これらに関し、新防衛大綱において、「装備品等の取得に当たっては、その調達価格を含むライフサイクルコストの抑制に向けた取組を推進するとともに、研究開発について産学官の優れた技術の積極的導入や重点的な資源配分、適時適切な研究開発プロジェクトの見直しなどにより、その効果的かつ効率的な実施を図る。また、わが国の安全保障上不可欠な中核技術分野を中心に、真に必要な防衛生産・技術基盤の確立に努める。」こととされており、ここでは、その取組の現状について説明する。


 
1)「取得改革調査委員会報告書」
http://www.jda.go.jp/j/library/archives/chotatu/roa9806.pdf


 
2)調達実施本部元幹部ら(当時)が、防衛庁から多額の過払いを受けていた企業2社からの返還処理にあたり、企業関係者と共謀の上、94(平成6)年から95(同7)年にかけて、会計法令などに違反して返還額を不正に減額し、国に損害を与えた。

 
3)〈http://www.jda.go.jp/j/library/archives/chotatu/soti/index.html

 
4)本章本節1参照

 
5)「防衛調達の現状について」
http://www.jda.go.jp/j/library/archives/chotatu/index.html

 
6)「総合取得改革の推進」
http://www.jda.go.jp/j/library/archives/sougousyutoku/17.3_b.pdf


 

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