新たな取得施策などの推進
(1)装備品のライフサイクル全体を通じての取得施策の推進
ア 装備品のライフサイクルを通じての取得業務の一元管理への取組
装備品の取得に関しては、高い即応性を保持するための装備品の可動率の向上、ライフサイクルコスト抑制と価格効率性の向上、技術革新の進展を踏まえた装備品の研究開発などがより一層求められており、内部部局及び陸・海・空幕僚監部の取得関係部署、契約本部、技術研究本部、補給本部・補給統制本部、補給処や試験などを担任する部隊などのそれぞれが持つ情報やノウハウ・経験などの交換などをより活性化し、装備品をライフサイクルを通じて適切に管理することが必要となっている。
このため、取得業務については、組織横断的なプロジェクトチーム(IPT:Integrated Project Team)を設置し、その統括者(PM:Project Manager)の下に、プロジェクト全般の情報を集約し、防衛構想との調整を図りながら、装備品のライフサイクルを通じて各種業務を一元的に管理する、いわゆるプロジェクト管理による装備品の取得を行うこととし、プロジェクト管理による装備品の取得に向けた所要の検討を行うとともに、一部装備品についてIPT/PMによるプロジェクト管理を試行し、IPT/PMによるプロジェクト管理の対象装備品などの範囲、方法、権限、手順などを確立することとしている。
また、装備品の取得業務を一元管理し、装備品のライフサイクルを通じた機能・性能、スケジュール、コストの最適化を図るため、装備品の取得関連組織について、次のような方向で検討を行っている。
1) 開発から調達、維持、廃棄までのライフサイクルを通じた装備取得体制の構築(契約本部の契約・契約管理機能、原価計算部の原価管理機能、技術研究本部の開発機能、管理局の補給管理機能を装備取得新組織として統合・再構築)
2) 優れた装備を創出するための研究・評価体制の構築(技術研究本部の先進技術研究部門及び技術評価部門を充実)
3) 取得業務に対するチェック機能の強化(取得組織の業務に対する外部からのチェック機能として内部部局の調達監察機能を強化)
イ 品質、スケジュール、コストについて最大のパフォーマンスを得るための調達システムの確立
企業における装備品の生産管理手法の改善などを促すための活動や集中取得に取り組むとともに、装備システムの選定方法のあり方、民間活力を最大限活用する契約制度のあり方、契約にかかわる諸課題の解決に向けた検討を行っている。
ウ 必要な時に必要なものを低コストで部隊に提供するための補給システムの確立
補給機能の向上を図るための補給システムの改善、標準化の推進、電子タグ(RFID:Radio Frequency Identification)の活用に向けた検討を行っている。
エ 調達業務の効率化や装備品の品質向上などに向けた取組
調達業務の電子化の推進、装備品の品質向上に向けた活動、FMS:Foreign Military Sales調達
7の改善、防衛庁向け債権流動化
8の促進に取り組むとともに、迅速な調達補給を実施するための措置や艦船の建造方法の見直しなどについて検討を行っている。
オ グローバルな対話を通じた諸外国との取得・補給面での連携の強化
欧米諸国における取得・後方に係る対話・国際協力、武器システム支援フォーラム(WSSF:Weapon System Support Forum)や日米ロジスティックス協議への参加、フランスなどとの交流など、グローバルな対話を通じて諸外国との間の取得・補給面での連携を強化していく。
(2)取得の透明性・公正性の向上
取得の適正性を確保する有効な方法の一つは、取得事務の透明性を高めることであるとの認識の下、随意契約の透明性の向上、原価監査及び制度調査の強化、調達業務の相談体制の充実に取り組むとともに、調達監察業務の強化について検討を行っている。
(3)職員の資質の向上
総合取得改革の各々の事業を着実に進展させていくためには、限られた職員一人一人の資質の向上を図る必要があり、このため、契約本部における電子教育システムの導入、装備品のプロジェクト管理を推進するための専門家の育成、企業経営や生産管理のノウハウを有した人材の確保といった取組を行っている。