第4章 国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組 

ゴラン高原国際平和協力業務に従事した隊員の声

 昨年8月から本年2月にかけて、国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)に第18次ゴラン高原派遣輸送隊副隊長として派遣された後藤1尉(現補職:第8後方支援連隊本部勤務)に、UNDOFでの活動について聞きました。

 
執務室で業務を行っている後藤1尉

 日本隊の主な任務は、UNDOFの活動に必要な物資の輸送、道路や宿営地の補修、重機の整備・回収、降雪時の除雪作業といった後方支援業務です。特に、輸送業務については、イスラエル、シリア、レバノンの3国の広範囲にわたって活動し、派遣された半年間の延べ走行距離は地球約2.5周分にもなりました。
 UNDOFに派遣された各国は、自国の旗をゴラン高原に高々と掲げ、中東の平和に貢献しているという「自負」と「自信」をもって活動しています。その中にあって、日本隊は43名と規模は小さいものの、イスラエル、シリア両国をはじめ、各派遣国の日本隊に対する期待や信頼は高く、また、友情も肌で感じることができました。これも、今まで派遣された日本隊の努力の賜物であるとともに、先の大戦後の焼け野原から復興を成し遂げ、驚異的な発展を遂げた日本への率直な評価が根底にあると思われます。このことは、UNDOFへ派遣された隊員としての「誇り」であると同時に、こうした評価・期待に応えるためにも、また日本の代表として「日の丸」に傷を付けてはならないという気概が緊張感に溢れる活動に繋がっていたと思います。
 UNDOFへの派遣が開始され10年目を迎えようとしておりますが、これまで1件の大きな事故もなく日本隊の活動が継続された要因の一つは、この『「日の丸」の重み』にあったのではないかと帰国して現地の活動を振り返ってみて強く実感しています。

 

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