第4章 国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組 |
インド洋において協力支援活動に従事した隊員の声
昨年5月から9月にかけて、テロ対策特措法に基づく協力支援活動のために、インド洋に派遣された海自隊員に現地の活動について聞きました。
護衛艦「こんごう」航海長 1等海尉 渡邊拓也(現所属:護衛艦「こんごう」)
本派遣期間中、インド洋に派遣されている各国海軍艦艇との交流ができたこと、また海軍艦艇が近接、離脱する際のエールの交換(フェアウェルパス)により、日本が参加国の一員として受け入れられていることを実感することができ、本活動に従事して良かったと感じています。
特に、派遣先で同じ港に入港した米艦を訪れ、自衛艦旗と米国旗の交換を申し出たところ、対テロ活動の参加国の一員で同じ目的を持つもの同士として快く応じてくれたこと、また入港岸壁の水深調査のため、現地港湾管理者を訪問した際に、水深や浚渫(しゅんせつ)(水底の土砂や岩石をさらうこと。)の資料を快く提出して頂けたことなど、各国と協力して国際平和協力を行っていると実感できた1つのエピソードです。
インド洋への派遣が開始され今年で4年目となりましたが、こうした活動は、我々派遣された艦艇と米海軍、フランス海軍などの各国艦艇との交流を通じ相互理解を促進するなど、本派遣は、テロ対策特措法に基づく協力支援活動を通じた各国と交流する貴重な機会であると思っています。
護衛艦「ありあけ」乗組員 3等海曹 永橋幸雄(現所属:護衛艦「ありあけ」)
今回で2年連続2回目のインド洋への派遣となりましたが、国際平和協力活動という大きな活躍の場を与えて頂き日本の代表としての名誉と責任をことある毎に感じながら長期にわたる任務も無事に遂行し、また事故もなく帰国できたことを嬉しく思います。
現地の活動を振り返ってみれば、事前にある程度の情報はありましたが、現地の気温、湿度の高さには驚かされたことが印象に残っています。私は、艦外での職務であったため、艦上で作業することが多く、5分も作業をすれば汗びっしょりとなり集中力が低下してくるなど日本では味わうことのない酷暑での任務は思った以上に体力の消耗が激しく、また狭い艦内ではストレスが溜まりやすい環境下での活動でした。
このような環境下で任務が遂行できたのは、第一に家族とのEメールのやりとりが毎日でき、家族や日本を身近に感じ精神的なリラックスができる拠り所になっていたこと。また艦上体育を通じて適度な疲労感、心地よい爽快感を得ることにより気分転換が図られたおかげだと思います。さらに、どこまでも続く水平線上で見る夜空は日本ではとても見ることができない程美しく、流れ星も頻繁に目にすることができ任務の疲れを癒してくれる自然からの贈り物も要因の一つです。
派遣任務を無事に完遂できたことは、普段の生活では味わうことがあまりできない達成感、喜びとなって返ってきました。また今回の派遣では、日本から離れて初めて気づく日本に対する世界の目、自分が持っている愛国心を再認識できる貴重な経験となりました。