第1章 わが国を取り巻く安全保障環境 

7 アジア太平洋地域の米軍


前方展開戦力の維持

 太平洋国家でもある米国は、アジア太平洋地域に陸・海・空軍と海兵隊の統合軍である太平洋軍を配置し、この地域の平和と安定のために、引き続き重要な役割を果たしている。
 米国はこのような役割の果たす意義について累次にわたって表明してきており、02(平成14)年2月に来日したブッシュ大統領は、国会での演説で、日本と同様、米国も太平洋国家の一員であり、アジアの将来の一翼を担っているゆえに、米国はこの地域における前方プレゼンスに以前にも増してコミットしていることを強調しているほか、本年3月に来日したライス国務長官は、米国の存在が地域全体の平和と安定を形成し、アジアが変革と変化を続けていくことに資するものである旨述べている。
 なお、01(同13)年10月に米国防省から公表された「4年毎の国防計画の見直し」(QDR)においても、4つの重要な地域(欧州、北東アジア、東アジア沿岸部、中東・南西アジア)における前方抑止態勢の強化を重視している。その中でも、アジア太平洋地域に関わる具体的施策1として、西太平洋地域における空母戦闘群の増強、3〜4隻の水上艦艇や巡航ミサイル搭載潜水艦の母港を設定する際の選択肢の検討及び北東アジアにおける重要な基地の維持やこれらの基地を他地域への戦力投入のための中継地点とする考えを示している。他方、アジア地域においては、現地からの支援を最小限にして遠距離から作戦を維持することのできるシステム開発に重点をおかなければならないとも述べられている2


 
1)米太平洋軍司令官ファーゴ海軍大将(当時)は、昨年9月、米上院軍事委員会において、「1)ハワイ及びアラスカにストライカー、高速艇(HSV:High-Speed Vessel)及びC-17輸送機を併せて配備、2)グアムに爆撃機のローテーション部隊を展開、3)グアムに潜水艦を配備、4)太平洋に空母打撃群を追加配備することを提案した。」と証言した。

 
2)米軍のグローバルな態勢見直しは、コラム参照


 

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