欧州主要国
現在、欧州の多くの国では、国家による大規模な侵攻の脅威は消滅したと認識されている一方、旧ユーゴスラビア諸国における地域紛争の発生、9.11テロで顕在化した国際テロリズムの台頭、大量破壊兵器の拡散といった新たな安全保障上の課題が生じている。
冷戦終結以来、多くの国で軍事力の量的な削減や合理化を進める一方、こうした新たな課題にも対処し得る能力の整備への取組が進んでいる。さらに、北大西洋条約機構(
NATO:North Atlantic Treaty Organization)や欧州連合(
EU:European Union)の枠組みを通じた各国の共同による安全保障環境の安定化に向けた努力も模索されており、欧州では、重要な同盟国である米国との圧倒的な軍事能力格差の顕在化、イラク問題などを巡っての米欧間や欧州内部での意見の不一致といった問題を抱えながらも、欧州独自の軍事能力整備など、既存の安全保障の枠組みを強化する動きが進められている。
(1)安全保障の枠組みの強化・拡大と米欧関係
ア 紛争予防・危機管理・平和維持機能の強化
(ア)新たな役割への取組
加盟国間の集団防衛を中核的任務として創設された
NATOは、冷戦終結とともに活動の重点を紛争防止、危機管理へと移行させてきている。
92(同4)年以降は旧ユーゴスラビア地域における紛争に関与を強め、現在もセルビア・モンテネグロのコソボ自治州において国際安全保障部隊(
KFOR:Kosovo Force)を主導するなど、
NATO域外における紛争予防・危機管理に取り組んでいる。
こうした変化は99(同11)年に更新された同盟の戦略概念にも反映され、欧州及び周辺地域において民族的・宗教的対立、領土紛争、人権抑圧など多様で予測困難な危険が依然として存在しているとの認識に基づき、中核任務たる集団防衛に加え、紛争予防や危機管理などの任務
21を追加した。
9.11テロに際して
NATOは、集団防衛について規定した北大西洋条約第5条を創設以降初めて発動して米国の軍事行動を支援
22するなど、国際テロリズムとの闘いに取り組んでいる。また03(同15)年8月より
NATOはアフガニスタンにおける国際治安支援部隊(
ISAF:International Security Assistance Force)を主導して初めて欧州域外において作戦を展開・拡大させている。
イラクへの対応をめぐっては米欧間で意見対立が見られたものの、昨年6月の
NATOイスタンブール首脳会議での合意に基づきイラク治安部隊の訓練への
NATOによる支援が行われており、本年2月のブッシュ米大統領の欧州諸国歴訪により米欧関係の重要性が再確認されるなど、米欧関係には修復の兆しが見られる。
このように
NATOが新たな役割への取組を進める中で、非国家主体からなる脅威の顕在化などを踏まえ、
NATOの更なる抜本的な改革を求める意見もあり
23、
NATOが国際社会で果たす機能について今後も議論が生起すると見られる。
他方、近年安全保障分野における取組を強化している
EUは、03(同15)年12月に
EUとしては初めてとなる安全保障戦略文書
24を採択し、テロリズムや大量破壊兵器の拡散、地域紛争、破綻国家(はたん)、組織犯罪を重大な脅威とし、多国間主義でこれに対処していく方針をまとめた。
実際 の活動として、同年に
EUは、マケドニアの治安維持のため、
NATOの装備や能力を使用して
25軍事作戦を初めて主導した。また、同年コンゴにおいて欧州域外における平和維持作戦を初めて展開し、
NATOの装備や能力を使用せずに初めて自律的に作戦を遂行した。昨年12月には
NATO主導のもとボスニア・ヘルツェゴビナに展開していた安定化部隊(
SFOR:Stabilization Force)の活動を引き継ぐなど、近年危機管理・治安維持の分野における活動
26に積極的に取り組んでいる。
(イ)
NATOの軍事能力改革の動向
米欧間の能力格差は
NATO発足当初から存在したが、コソボ紛争を端緒として、99(同11)年に
NATOがユーゴ連邦共和国を空爆した際、米欧が共同作戦を行うに当たって、欧州諸国軍は危機の地域に対する緊急展開態勢が整っていなかったことによって顕在化し、関係者の間で深刻な問題として再認識された。
02(同14)年11月にプラハで開催された
NATO首脳会議における合意に基づき、
NATOの機構改革
27、化学・生物・放射線・核(CBRN:Chemical, Biological, Radiological, Nuclear)防護大隊の創設
28をはじめとする様々な取組が進められている。
NATOの能力向上の核となるのが、同年より整備が進められている、全世界の各種の危機事態に迅速に展開できる
NATO即応部隊(
NRF:
NATO Response Force)である。
NRFは、陸海空の各部門及び各種の専門機能を有する部隊からなる2万名以上の統合部隊であり、ローテーションによる部隊編成によって高度の即応性を維持し、派遣決定から5日以内に展開を開始し、30日間継続して活動可能な部隊として構想されている。昨年10月には初期作戦能力の達成が宣言され、06(同18)年10月までに完全な作戦能力を保有することが目標とされている。
(ウ)
EUの安全保障面における動向
EUは、
NATOが介入しない分野において自律的に平和維持などの軍事活動を実施するため、99(同11)年にヘッドライン・ゴールと呼ばれる目標を設定して能力整備を進めてきた。
EUは昨年、
EUが主導した作戦から得た教訓を考慮して「ヘッドライン・ゴール2010」を新たに採択し、1,500人単位の部隊を複数設立してローテーションによって待機させ、15日以内に現地に展開し、少なくとも30日間活動可能とする構想
29を今後の軍事的取組の中核に位置付けた。昨年11月に
EUは合計13個の
EU戦闘群の組み合わせを正式に公表した。本年には最初の戦闘群を派遣可能とすることが目標とされており、07(同19)年より常時2個の戦闘群がローテーションで待機するように計画している。
また、
EUは昨年7月には欧州安全保障防衛政策における各国の防衛能力向上を目的として欧州防衛庁を設立した。欧州防衛庁は、装備を中心とする多国間協力を促すとともに、技術研究及び欧州防衛産業の調整にもかかわるとされ、今後の具体的な活動が注目される。
イ 安全保障の枠組みの地理的拡大による安定の確保
冷戦終結後いわば安全保障上の空白地帯となった中・東欧地域では、
NATOの枠組みの拡大による安定の確保がなされてきた。
NATOは94(同6)年に「平和のためのパートナーシップ」(
PfP:Partnership for Peace)を採択し
30、これに基づき平和維持活動や難民問題対処などに関する演習を行っている。
また同年、信頼醸成を図る目的で地中海諸国と対話を開始し、97(同9)年には地中海協力グループ(
MCG:Mediterranean Cooperation Group)を創設して情報提供、軍事面での助言を行い、地中海地域の安定に寄与している。
NATOとロシアの関係では、9.11テロ以降、安全保障に関する共通の課題に対処する必要性から、02(同14)年5月の
NATO・ロシア首脳会議で
NATOロシア理事会を設置することが決定された。
NATOには昨年3月に7か国が新たに加盟
31したことにより、中・東欧諸国のほとんどが
NATOに加盟するに至っている。
他方、
EUには、同年5月に中・東欧の10か国が加盟
32した。この
EU拡大を契機とする欧州統合機運の高まりを背景に、同年10月、
EU加盟国は、欧州理事会常任議長及び
EU外相の新設などを含む欧州憲法条約
33に調印した。今後、この欧州憲法条約により
EUは外交・安全保障分野でより継続性のある取組を目指していくと考えられるが、当面は、各国における批准が最大の課題となる。
(2)多様な事態への対応能力を確保するための各国の努力
各国は、テロや大量破壊兵器の拡散といった新たな脅威を念頭に、軍隊の任務について国土防衛以外の任務を重視する傾向にあり、防衛力の整備においても、
NATOなどにおける役割を考慮しつつ、海外展開のための輸送能力強化などに努めている。
ア 英国
英国は、現在、98(同10)年の「戦略防衛見直し」(
SDR:Strategic Defense Review)を防衛政策の基礎としている。
軍の任務は、1)平時の治安維持(テロ対処支援)、2)海外領土の保全、3)軍備管理・交流などの「防衛外交」、4)より広範な国益の確保に対する支援
34、5)平和支援・人道援助、6)
NATO域外の地域紛争・危機対処、7)
NATO地域での侵攻対処、8)
NATOへの戦略的攻撃対処とされ
35、具体的には、核戦力の削減、統合戦闘能力の強化
36、
NBC防護などの改善、機動力・攻撃力の向上や軍人の処遇改善、装備品調達の効率化を図ってきた。02(同14)年7月には、9.11テロを踏まえ、
SDRに「新たな1章」を追加し、国際テロリズムへの対処方針を策定した。
03(同15)年12月には、「変動する世界における安全保障」と題する白書を刊行した。国際テロリズム、大量破壊兵器の拡散及び破綻国家を大きな脅威として位置付けた上で、イラクに対する軍事作戦の教訓を踏まえて、海外展開能力の強化や即応性の向上など軍の更なる変革の必要性を強調している。また、作戦遂行能力の目標は、湾岸戦争のような1つの大規模作戦とボスニアやコソボにおける紛争のような2つの中小規模作戦の計3作戦を同時に遂行できる能力とされている。この白書で示された方針に基づき、昨年7月には将来の具体的軍事力を示す報告書を発表した。兵力削減や陸海軍の主要施設の統合を進める一方で、目標捕捉から攻撃までを迅速かつ正確に行う能力、中小規模作戦を効果的に遂行できる地上戦力や、空母及び揚陸艦の整備による対地攻撃能力の向上などを図るとしている。
なお、国内のテロに対する取組についても、英国は、本年3月にテロ関与の疑いのある者に対して移動や通信などの自由を制限することなどを盛り込んだテロ防止法を制定している。
イ ドイツ
ドイツは、90(同2)年の統一以来、兵力の削減に努めてきたが、シュレーダー政権は、兵力がなお過剰であり、任務遂行と近代化に支障をきたしているとの観点から検討を行い、00(同12)年6月に新たな改革計画を決定し、翌年から戦略輸送能力の向上や重装備の削減をはじめとする具体的な改編作業を進めてきた。
03(同15)年5月には防衛政策の基本文書である新たな「防衛政策指針」が発表された。同指針は、ドイツの領土に対する従来型の脅威は消滅したものの、テロや大量破壊兵器の拡散など新たな脅威が拡大しているという認識の下、国連や
NATO、
EUの枠組みの中で行う紛争予防・危機管理及び同盟国の支援を連邦軍の任務の重点として位置付けている。また、防衛能力もそれに適合するよう、指揮・統制、情報収集・偵察、機動性などの能力の強化のために資源を重点配分していくとしている。その後、同指針に基づく計画の具体化作業が進められており、迅速かつ効果的に諸外国の軍隊と合同で作戦を遂行するため、軍を介入部隊、安定化部隊、支援部隊という3つの機能別の統合部隊に再編する方針である。介入部隊は、最新の装備を有する即応部隊であり、
NATO即応部隊や
EU戦闘群の作戦など高強度の多国間作戦に展開し、平和安定化のための作戦
37の前提となる環境を整える。安定化部隊は、低・中強度の比較的長期間に及ぶ軍事作戦に展開し、平和安定化のための作戦を遂行する。支援部隊は、介入部隊及び安定化部隊の作戦準備及び作戦遂行をドイツ国内や作戦地域で総合的に支援する。このように、3つの統合部隊はそれぞれの任務に応じて運用される
38。
また、10(同22)年までに総兵力を25万人に削減する方針であり、連邦軍改革の一環として連邦軍の国内駐屯地・施設の再配備、師団・艦隊の再編も構想されている
39。
ウ フランス
フランスは、現在、シラク大統領が96(同8)年に発表した15(同27)年までのフランス軍の近代化計画を防衛政策の基礎としている。軍の任務は、1)死活的国益の防衛、2)欧州と地中海地域の安保・防衛への貢献、3)平和と国際法の尊重への貢献、4)公共の秩序維持
40とされる。
防衛戦略としては核抑止、紛争予防、海外への戦力展開、国土防衛(テロ対処など)を中心に位置付けており、統合作戦、戦略機動、情報などを重視しつつ、総兵力や主要装備品の数量を全体として削減するなどの改革を行っている。
03(同15)年1月に議会承認された「2003年-2008年軍事計画法」においては、欧州防衛体制の構築に貢献し、軍の専門職化を強化することを基本方針とし、指揮・情報能力の強化、展開・機動能力の向上、防護能力の強化などに重点的に投資するとされた
41。また、15(同27)年までに空母第2番艦を取得することが明記され、昨年2月にはシラク大統領が空母第2番艦建造
42に当たり英国と協力することを発表した。
(3)欧州における安定化のための努力
ア 軍備管理・軍縮
90(同2)年に
NATOとワルシャワ条約機構(
WPO:Warsaw Pact Organization)の加盟国で署名し、92(同4)年に発効した
欧州通常戦力(CFE:Conventional Armed Forces in Europe)条約は、東西両陣営間の通常戦力分野における初めての軍備管理・軍縮に関する合意であった。この条約は、戦車、装甲戦闘車両、火砲、戦闘機、攻撃ヘリの5つの区分の兵器について、東西両グループ
43の保有上限を定め、これを超える兵器を削減することとされた。これにより既に7万点以上の各種兵器が削減されている。
その後、
WPOの消滅や
NATO拡大などの欧州における戦略環境の変化を踏まえ、99(同11)年の
OSCE:Organization for Security and Cooperation in Europe首脳会議において、従来の東西両グループごとの保有制限を国別・領域別保有制限に変更することを主な内容とするCFE適合条約が署名された
44。
イ 信頼醸成措置(
CBM:Confidence Building Measures)
45
欧州においては、89(同元)年から信頼・安全醸成措置(
CSBM:Confidence and Security-Building Measures)交渉が行われてきたが、92(同4)年の欧州安全保障協力会議(CSCE:Conference on Security and Cooperation in Europe)全体会議において、軍事情報の年次交換、一定規模以上の演習などの通報・査察・制限などを内容とする「ウィーン文書1992」が採択された
46。
また、92(同4)年に25か国により署名された、相互の査察飛行により、締約国の軍事活動の公開性と透明性を増進させるとともに、軍備管理の検証手段を補足するオープン・スカイズ条約
47が、02(同14)年1月に発効した。
21)「非5条任務」と呼ばれる。
22)具体的な活動としては、
NATO地中海常設艦隊の東地中海展開などを行った。
23)本年2月に開かれたミュンヘン安全保障会議において、ドイツのシュレーダー首相は「
NATOは、もはや大西洋同盟諸国が議論し、戦略を調整する主要な場ではない」と指摘し、
NATO改革提言のためのハイレベル・パネルの設置を提案した。
24)「より良い世界の安定した欧州」
25)96(平成8)年6月のベルリン
NATO閣僚会合では、西欧同盟(WEU)主導のオペレーションにおいて、
NATOの資産・能力の使用を認める決定がなされた。その後、WEUの役割と任務の大半が
EUに移譲されることになり、99(同11)年4月のワシントン
NATO首脳会合では、改めて
EUに対して
NATOの資産・能力の使用を認める決定がなされた。この決定をベルリン・プラスという。02(同14)年12月には
NATO・
EU間でこの決定に関する恒久的なアレンジメント(取り決め)が成立した。
26)「ペータースベルク任務」と呼ばれ、1)人道支援・救難任務、2)平和維持任務、3)平和創出を含む危機管理における戦闘部隊任務からなる。
27)欧州連合軍及び大西洋連合軍の2個作戦戦略軍を単一の軍(作戦連合軍)に統合し、
NATO軍事能力の変革及び相互運用性の向上を監督する変革連合軍司令部を創設した。
28)CBRN防護大隊は昨年、アテネ・オリンピック及びパラリンピックの際にテロに備えて派遣された。
29)「バトルグループ(戦闘群)構想」と呼ばれ、03(平成15)年、英仏独が共同で
EUに提案した。
30)信頼醸成や相互運用性の確保などを目的に
NATOと東欧諸国をはじめとする
NATO非加盟の
OSCE諸国が個別に協力協定を締結している。
31)ルーマニア、スロベニア、エストニア、リトアニア、ラトビア、ブルガリア、スロバキア
32)ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、マルタ、キプロス
33)正式名称は「欧州のための憲法を制定する条約」。同条約の発効には全加盟国による批准が必要である。本年6月2日現在、10か国が批准作業を完了している一方、フランス及びオランダにおいては国民投票で批准が否決されており、同年6月の
EU首脳会議における合意を受けて、批准作業の延期を発表した加盟国もある。
34)5か国(英、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール)防衛取極に参加して共同演習を行うことなどを通じて国際的な友好を深め、海外における国益追求を支援するとされている。
35)03(平成15)年12月に発表された白書「変動する世界における安全保障」では、この構成(1つの主要な防衛任務、8つの防衛任務、28の軍事任務)を見直し、1つの国防目標と18の軍事任務に再構成している。18の軍事任務として、核抑止、英国領海の保全、海外領土の防衛・安全保障・平和維持・戦力投入などを挙げている。
36)緊急展開部隊の創設、海・空軍固定翼部隊の統合運用、統合ヘリコプターコマンドや統合陸・空軍防空組織の編成など
37)紛争当事者の引き離しなど、国際的な協力の枠組みにおいて国家又は社会的構造の建設のための前提条件を作り出すことを目的とした活動であるとされる(昨年1月のシュトルック独国防相の公式発表による)。
38)介入部隊は3万5千人規模、安定化部隊は7万人規模、支援部隊は14万7,500人規模とされている。
39)昨年11月シュトルック独国防相は、陸軍の師団、空軍の航空師団の数を削減し、また、10(平成22)年までに国内の駐屯地・施設のうち105か所を閉鎖して最終的に392か所とする構想を発表した。
40)フランス軍には、国家警察と警察事務を分掌する軍警察隊(ジャンダルムリ)が設けられている。
41)具体的な装備品としては、2隻目の空母建造、無人偵察機の発注とA-400M輸送機、戦闘機「ラファール」、新型戦車「ルクレール」の取得などが盛り込まれている。
42)空母の推進方式については、英国が今後取得予定の空母と同じく通常推進型と決定された。
44)
NATO新規加盟のバルト3国が
CFE条約を締結していないなど、発効までには解決すべき問題が存在する。
45)偶発的な軍事衝突を防ぐとともに、国家間の信頼を醸成するとの見地から、軍事情報の公開、一定の軍事行動の規制、軍事交流などを進める努力が行われている。これらは、一般的に信頼醸成措置と呼ばれている。
46)その後、99(平成11)年には、主要兵器・装備システムが使われなくなった場合の通報、交流に関する情報提供、砲・装甲戦闘車などの数量を制限した演習の実施、査察報告の期限、地域的な信頼醸成のため多国間・二国間などの自主的な同意に基づく信頼醸成措置の実施などを追加した「ウィーン文書1999」が採択された。
47)査察飛行は、定められた種類のセンサーを装備した非武装の航空機により、査察国が策定し被査察国が了承した飛行計画に従って行われる。査察飛行により収集されたデータは、すべての締約国が入手できる。