第6章 今後の防衛庁・自衛隊のあり方 

BMDシステムの概要

 今般、政府が整備することとしたBMDシステムは、現在自衛隊が保有しているイージス艦と地対空誘導弾ペトリオット・システムの能力を向上させ、両者(イージス艦による上層での迎撃とペトリオット・システムによる下層での迎撃)を統合的に運用する多層防衛システムである。
 このBMDシステムは、弾道ミサイルの迎撃を行うウェポン(イージス艦など)、弾道ミサイルの飛翔状況を探知・追尾するセンサー、さらにウェポンとセンサーを効果的に連携させて組織的に弾道ミサイルに対処するための指揮統制・通信システムから構成される。この整備に当たっては、ウェポンとしてのイージス艦と地対空誘導弾ペトリオット・システム、指揮統制・通信システムとしての自動警戒管制組織(BADGEシステム)8など、現有装備を最大限に活用して効率的に進めていくこととしている。
 
BMD整備構想・運用構想

 このため、平成16年度予算においては、BMD関連経費として1)イージス艦の改修とSM-3ミサイル9の取得、2)地対空誘導弾ペトリオット・システムの改修とPAC-3ミサイルの取得、3)自動警戒管制組織(BADGEシステム)へのBMD対処機能付加のためのシステム設計などに着手することとし10、総額約1,068億円(契約ベースの金額)を計上している。
 
イージス・システムの改修概要 ペトリオット・システムの改修概要



 
8)自動化した航空警戒管制組織であり、指揮命令、航跡情報などを伝達・処理する全国規模の指揮通信システム。

 
9)SM-3ミサイルは、主として航空機・対艦ミサイルを迎撃目標としていた従来型のSM-2ミサイルと異なり、弾道ミサイルを迎撃目標とするミサイル。

 
10)2章3節2参照。


 

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